だから日本はズレている2

<だから日本はズレている2>
図書館に予約していた『だから日本はズレている』という新書をゲットしたが、五ヶ月半待たされたわけで・・・・
果たしてこれだけ待つと、新書の賞味期間が過ぎてしまうではないか?と心配されるわけです(笑)

新書のテーマが短期的視点で書かれることが増えているようだが・・・
半年後に生き残る新書の戦略とは何なのか?という読み方も面白そうである、いやホント。


【だから日本はズレている】
古市

古市憲寿著、新潮社、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
リーダーなんていらないし、絆じゃ一つになれないし、ネットで世界は変わらないし、若者に革命は起こせない。迷走を続けるこの国を二十九歳の社会学者が冷静に分析。日本人が追い続ける「見果てぬ夢」の正体に迫る。
【目次】
「リーダー」なんていらない/「クール・ジャパン」を誰も知らない/「ポエム」じゃ国は変えられない/「テクノロジー」だけで未来は来ない/「ソーシャル」に期待しすぎるな/「就活カースト」からは逃れられない/「新社会人」の悪口を言うな/「ノマド」とはただの脱サラである/やっぱり「学歴」は大切だ/「若者」に社会は変えられない/闘わなくても「革命」は起こせる/このままでは「2040年の日本」はこうなる

<読む前の大使寸評>
斎藤環が古市憲寿のズレに注目しているが、団塊世代の「おじさん」として、それを見ているだけでは・・・
あかんのやろな~。

<図書館予約:(12/08予約、5/26受取)>

rakutenだから日本はズレている


行政の効率化をめざし2020年から実施予定の「マイナンバー制度」であるが・・・
縦割り行政から脱皮できないニッポンで、それがうまく機能するわけないという気がするのだ。そのあたりを見てみましょう。
p95~98
<あまりにも不便な「マイナンバー制度」>
 東日本大震災では本人確認が難しいケースが相次いだ。着のみ着のまま逃げ出し、避難した人々は、自分が誰かを証明するものを持っていない。安否確認や被災者名簿などの作成は一筋縄ではいかなかったという。
 
 国家の根幹を成す税金に関しても「クロヨン」と呼ばれるように、どこまで実態に即して捕捉できているか疑問だ。捕捉率の業種間格差は減少傾向にあるという研究もあるが、帳簿の必要ない白色申告を続ける人は多いし、税務署員の数も多いとはいえない。さすがに2014年からは白色申告でも帳簿作成が義務化されるというが、それもどこまで徹底されるかわからない。

 家で確定申告ができるe-Taxなどもあるが、ICカードリーダーが必須なうえに、電子証明遺書の取得などもあり準備が非常に煩雑だ。

 もっと、この国は便利にならないのか。
 実は2013年、日本が「素敵な監視社会」へ踏み出すための第一歩となりそうな法律が成立した。国民全員に個人番号を割り振って、納税に関する実績や年金情報などを政府が一元的に管理できるようにする「マイナンバー法」だ。

 もし制度設計者の思惑通りに全てが進めば、年金手帳や健康保険証、介護保険証が一枚のICカードにおさまる。医療費の支払い状況はネットで確認できるし、「消えた年金」問題も解消される。様々な情報が一元的に管理されるので所得把握の精度も上がる。役所の窓口でのたらい回しもなくなる。

 ただしネックがある。その導入と運用にかかる費用がちょっと高いのだ。いくつかの試算があるが、システム設計と導入に数千億円、加えてランニングコストが毎年数百億円はかかると言われている。まあ、便利な監視社会実現のためには仕方がない。

 ネックはあと少しある。マイナンバー推進論者はよくエストニアやスウェーデンをモデルケースとして挙げる。しかし共に小国で、日本と単純に比較できない。しかもエストニアは電子政府化を進めすぎた結果、サイバー攻撃の被害に遭い、国家機能が麻痺する事態に陥った。また他国でも共通番号を使ったなりすまし犯罪が相次いでいる。

 ネックはこれで最後だ(本当はもっとあるが、きりがないので止める)。マイナンバーのキモは、各省庁がバラバラに管理していたデータを一元化して、個人を適切に管理し、行政を効率化することだ。しかし省庁間の連携が進まずに、いっこうに普及しない「住基ネット」の二の舞になる可能性がある。これが一番問題かもしれない。


古市さんが2040年の日本の姿を予測しています。・・・かなりディストピアである。
p218~220
 今から約30年後、2040年の日本の姿を予測してみた。
<30年後の幸福な階級社会>
 上海から久しぶりに日本へ戻ると、すぐにタクシーに乗り込んだ。羽田空港から都心へ向かう時に見えるビル群、湾岸部の風景は東京オリンピックが開催された頃から大きく変わっていない。もしかしたら、僕が『絶望の国の幸福な若者たち』という本を書いた30年近く前と比べても、東京という街の雰囲気自体はあまり変化がない。

 だけど、あの頃は笑いながら言えていた「絶望の国」という言葉は、だいぶ真実味を帯びるようになっていた。
 相対的貧困率が4割を超えた2040年の日本では、誰も「貧困問題」や「格差社会」なんてことを語ろうとはしなくなった。そんなことは、もはや社会の前提だからだ。

 しかし人々は幸せそうだ。裕福な親の子は裕福な、貧しい親の子は貧しい階級社会は、人々の生活満足度を再び上昇させた。社会学では相対的剥奪というが、人々は自分の所属する集団の中での比較で幸せを測るから、階級移動の夢が閉ざされた社会では、逆に幸福度が上がってしまうのだ。「まあ、私たちはこんなもんだろう」と。

 日本でも目に見えて階級社会化が進行した2030年代には、街でデモや暴動が起こった。特に2031年に最低賃金法の撤廃や公的年金廃止などが含まれた社会保障と雇用一体改革の強行採決時には、国会を老若男女が囲んだ。97歳の田原総一郎や90歳になった柄谷行人は非常に満足そうだった。
 
 その頃は一時的に人々の幸福度も下がった。しかし階級が固定し、人々がそれを当たり前のことだと思うようになると、再び幸福度は上がったし、治安も回復していった。

 治安維持に一役買ったのは、「ベーシックインカム」と「改良プロザック」の配布だ。生活保護制度の代わりに、毎月一定の電子マネーを配布するベーシックインカム制度が導入されたため、人々はとりあえず衣食住の心配をする必要はなくなった。電子マネーでの給付によって使用履歴が管理されるため、嗜好品に散財されることもない。

 プロザックは1980年代から使用されている抗鬱剤だ。当時から鬱状態を正常に戻すだけではなく、積極的な気持ちになれたり、人生を成功に導く薬だとマスメディアで取り上げられていた。

 かつては自殺衝動などの副作用が認められたプロザックも改良が進み、現在では「ハッピーサプリ」という名前で国家が一部の労働者に無料配布している。「ハッピーサプリ」が配られるのは、ファストフードの店員や介護職など「移民相当職」と呼ばれる労働者に対してだ。

 日本は欧州のように、低賃金労働を移民に任せるという選択肢を最後まで取らなかった。というか、取れなかった。東アジア諸国の経済水準が上昇し、職業機会が増えたため、それらの国の人々にとって日本へ移住するメリットがなくなってしまったからだ。



古市さんが「おじさん」の罪を説いています。大使の耳が痛いけど。
p234~236
<「おじさん」の罪>
 僕はこの本で何度か「おじさん」という言葉を使ってきたが、それは何も「中年男性」に限った特徴ではない。比較的、中年男性に「おじさん」は多いと思うが、彼らだけが「おじさん」というわけではないし、彼らのすべてが「おじさん」というわけでもない。

 「おじさん」とは、いくつかの幸運が重なり、既得権益に仲間入りすることができ、その恩恵を疑うことなく毎日を過ごしている人のことである。

 かつては男性でありさえすれば、多くの人が「おじさん」になることができた。高度成長期やバブル期など、経済成長が続いていた日本では企業社会が積極的に若者たちに対してその門戸を開いていたからである。

 はじめは「おじさん」の世界に理不尽さや違和感を抱いていた若者も、次第にそのルールに順応していく。会社のカラーに染まり、組織の意向を疑わなくなり、「おじさん」の世界の一員になっていく。

 人は今いる場所を疑わなくなった瞬間に誰もが「おじさん」になる。
 たまたまラッキーで「おじさん」になれただけかも知れないのに、それを自分の手柄のように思い込む。そして、「おじさん」界の外にいる「若者」や「女性」に対して冷たくなっていく。自分の幸運を棚に上げて、不遇な状況にある人を自己責任だと切り捨てる。そういった人を、僕は性別や年齢に関係なく「おじさん」と呼ぶ。

 しかし今、堅牢だと思われた「おじさん」の世界自体が壊れ始めている。業績の悪化に苦しむ老舗企業、誰も解決策を見出せない社会問題にたじろぐ政治家たち。
 もちろんさすがに「おじさん」も自分たちの世界の崩壊に気付いている。しかし、その解決策がまた「おじさん」流なのだ。強いリーダー、ポエムのような憲法、東京オリンピックソーシャルメディア。そういったもので、社会が何もかも変わることはあり得ない。

 「おじさん」は「今ここにないもの」に過剰に期待してしまい、「今ここにあるもの」に潜んでいるはずの様々な可能性を見過ごしてしまっているのだ。
 もし本当にこの社会を変えたいならば、「おじさん」たち自身から変わらなければならない。しかし疑うことを忘れた「おじさん」に、そんなことはできない。そうして発生する「おじさん」の世界を巡る負のスパイラルを、本書では描いてきた。


2040年の予測まで描いているので、半年くらいで陳腐化する新書ではないようですね。
だけど、せっかちなメディアの広告欄に載ることは、もうないでしょう。

だから日本はズレている1

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