伊坂幸太郎の世界 ③

<伊坂幸太郎の世界>
伊坂幸太郎の作品といえば、ジャンルとしては希望を語るエンタテイメント小説とでも言えるのではないか・・・
ということで、わりと好きなわけですね。
それから「ゴールデンスランバー」に代表されるように・・・
シュールな暴力とか、犯罪が出てきて、これがエンタテイメントの味付けになっているのです。
野性時代84号(伊坂幸太郎の頭の中)を読みながら、伊坂幸太郎の核心にふれてみたい。
・『火星に住むつもりかい?』
・小説家を作る読書遍歴
・ゴールデンスランバー
・アヒルと鴨のコインロッカー
・伊坂幸太郎の「砂漠」
・フィッシュストーリー
・モダンタイムス
・伊坂幸太郎の頭の中:野性時代84号

ゴールデンスランバー




<『火星に住むつもりかい?』>

『火星に住むつもりかい?』:伊坂幸太郎さんインタビューより
■自分が「怖い」と感じるものを書くと、現実には起こらない気がして落ち着くんです。
--伊坂さんといえば、お住まいの仙台を小説の舞台にされることが多いですが、今回もそうですね。
伊坂:どうしても使いやすいんですよね。しかも、この作品に出てくるヒーローは“あるもの”を利用した武器を使いますが、偶然、東北大学が結構関係していて、小説を書くにあたって取材させていただきました。

--ネタバレになるので言えませんが、あの武器には驚かされました。
伊坂:実は、あるおもちゃから着想を得たんです。子どもが遊んでいるのを見ていたら自分がすっかりハマって、今やコレクターです(笑)。何のおもちゃかもネタバレになるので話せないですが、この小説を読んで、「ああ、あれか!」とわかる方がいたらうれしいですね。今、新商品が出なくなっちゃったのですが、ぜひ復活してほしいです。

--『火星に住むつもりかい?』を書かれたきっかけとは?
伊坂:10年以上前に、光文社の方から「スパイダーマンをやりましょうよ」と提案されたことですね。最近の「アメイジング」シリーズではなく、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』が公開された後で、確かに、僕がそういうのを書いたらどうなるのかなあと気になって。いろいろな仕事の順番があってなかなか書けなかったのですが、その間もヒーローものだから武器を何にしようかとずっと考えていて。ようやく「これだ!」という武器を思いついて、執筆に取りかかったのは2011年の震災の後でした。

--「魔女狩り」を題材にしたのはなぜでしょうか。
伊坂:僕は戦争と死ぬことが一番怖いんですね。戦争の何が怖いかといえば、人々の考え方が正常ではなくなって、何でもありになることで。魔女狩りも資料などを読むと、「お前が魔女だ」と言われたら、もう逃げようがない。みんなが暴走して行く怖さがあるんです。
 こういった題材で小説を書くと、社会批判のように受け取られたりもしますが、僕はただ面白いものが書きたいだけ。そういう気持ちはまったくなくて、単純に、自分が怖いと感じると書きたくなるんですよ。『夜の国のクーパー』も、「戦争に負けたら怖い」ということを書いた小説です。書くと自分が何に対して怖かったのかがわかるし、おまじないというか、現実には起こらないんじゃないかと思って。あと、基本的にはエンターテイメントを書きたいので、魔女狩りのようなものを題材にしたほうが、ファンタジーになるかなと。

--以前から「違うものを合体させて書くのが好き」だと語られていますね。
伊坂:死神とミュージックストアもそうですね。今回も魔女狩りとヒーローを結びつけたら面白いだろうなと思って。ただ、魔女狩りをそのまま書くと本当にファンタジーになってしまうので、人々が密告し合う状況の怖さを伝えるためには、ディテールを書いていかないといけなくて。そうやって根付かせて行く作業はしました。

--ファンタジー的でありつつ、リアルに怖さを感じさせる…バランスが大事なんですね。伊坂:バランスはいつもすごく考えます。文章もそうで、難解なわけではなく、平易だけど少し独特な文章を目指したくなって、たんに読みやすいだけでなく、ちょっとニヤニヤできるバランスを探しますね。この前出した新作が阿部和重さんとの合作『キャプテンサンダーボルト』でしたけど、阿部さんも僕と似たような感じで、派手すぎず地味すぎずのバランスを考えるタイプで、初めて会った時に「僕たちはバランス派なんですよ!」と言い合って。
 だけど「『白樺派』とか、『内向の世代』という呼び方と違って、『バランス派』って名称は、いろいろ媚びてるみたいで、かっこう悪いなあ、という話になって」と(笑)。
--なるほど(笑)。でも小説を書かれる上で、そのバランスを探っていくのが面白いと?伊坂:そうですね。昔、評論家の人に伊坂の小説は腹八分目と言われたんですけど、実際、そこが僕自身は好みなんですよね(笑)。

--この作品は腹八分目どころか、前半から衝撃的ですね。地域の平和と安全のために国が作った「平和警察」によって普通の人たちが、自分では何も思い当たらないのに次々に連行されていく様が、本当に怖かったです。
伊坂:第1部は正直、読むのがキツいと思います。僕自身が書いていてしんどかったですし、奥さんに読んでもらった時に「面白いけど、前半は憂鬱になる」と言われましたから、たぶん、みなさん暗い気持ちになるんでしょうね(苦笑)。といっても、肉体的にえぐいことは書いていないんですが。

--だからこそ想像が膨らんで、「自分がもし、こんな立場になったらどうしよう」と思ったり。でも、警視庁の特別捜査官の真壁が登場する第2部で、ガラリと空気が変わりますね。
伊坂:第1部で起こった事件を解決するために、仙台にやって来る真壁と、宮城県警の二瓶のコンビは、シャーロックホームズとワトソン、島田荘司さんの「御手洗潔シリーズ」の御手洗と石岡君みたいなのをそのままやろう、と思って。真壁には何かうんちくがあるといいなと思ったけれど、僕が今、詳しいのはポケモンか昆虫(笑)。ポケモンは、以前『マリアビートル』で機関車トーマスの大ファンのキャラクターを書いたので被るなと思い、昆虫にしました。

--昆虫好きの真壁は、キレ者で掴みどころがないのに、不思議と親近感を覚える魅力的なキャラクターですね。
伊坂:真壁は最初、ミュージシャンの斉藤和義さんみたいな風貌でイメージしていたんです。ただ、それだと事件を解決するまでにいろいろ問題があったので、途中からは特にイメージせずに書きました。もともと僕はキャラクターに思い入れがあるほうではなく、特にこの作品はそうですね。執筆中は登場人物たちを俯瞰している感じでしたし、誰が主要人物か分からないという意味では、本当の群像劇だと思っています。

■「元気をもらう」というより、「1度くらい気持ちが上がる」小説が理想

--『火星に住むつもりかい?』のタイトルは、デヴィッド・ボウイの名曲『LIFE ON MARS?』がもとになっているそうですね。
伊坂:落ち込んだりした時に、よく聴いていた曲です。僕には好きなタイトルのパターンがあるらしく、それもやっぱり“組み合わせ”なんですね。『SOSの猿』も最初は『SOS』だけだったところ、締まりが悪いので猿を入れました。それに僕は、タイトルがないと書けないんですよ。今、次の小説に取りかかっていますが、タイトルが決まるまでは全然書けなかったですから。

--タイトルから小説のイマジネーションが広がるのですね。
伊坂:『アヒルと鴨のコインロッカー』などはまさにそうですね。最近はそうでもないですが、以前は「どんなタイトルだったら手に取ってもらえるかな」と考えて、そこから作っていきました。だけど『火星に住むつもりかい?』だと普通、宇宙に移住する話とかSFだと思いますよね…(苦笑)。

--確かに(笑)、この意外性がたまりません。しかも第1部では次々に登場人物が出て来て事件が起こり、第2部は一転、別の側からの視点、第3部はある人の述懐で物語が進み、第4部は驚きのクライマックスという、構成にも驚かされました。とても1冊の小説とは思えない濃さです。
伊坂:たぶん、こういう構造の娯楽小説はないと思うんですよ。今回はだから、こんな小説はなかったんじゃないか! という達成感があります。

--最初から最後まで先が読めない展開ですが、小説を書く上で「社会的メッセージはない」とすれば、物語を決着させるために、どんなことを指針にされるのでしょうか。
伊坂:この作品に関しては、しいて言えば「こんな状況になったら怖いし、大変だけど、火星に住むわけにはいかないよなあ」ということばっかり考えてしましたね。
 
 それは震災の時から思っていることで。「平和はいいですよね」くらいの気持ちはあるけれど、何が平和なのかは人によって違うだろうし、つまり正解がないですよね。正解がない中で、小説を結末付けるにあたっては、ベタじゃない終わり方にしたいなと。きれいごとってフィクションで書くとシラケてしまうんですよ。
 
 逆にシニカルにしすぎると読み手に届かなかったりする。だからといって、イヤな話というのは、よっぽどの才能がないとやらないほうがいいと思っていて。できれば、下がる話よりも1度上がるぐらいがシラケないのかなと。「シラケないくらいの、ほどほどに前向きな話を書く」というのは自分の中で、結構モチベーションになっています。昔はもっと切ないやり切れない話も書いていたんですけど、子どもが生まれて少し変わりましたね。子どもの未来が今より悪くなって欲しくないので。すごく平和な社会は想像ができないけれど、1度上がっているくらいの着地点を見つけるのが、僕は好きなんですね。

--この作品の結末も受け取り方は人それぞれでしょうが、個人的には一筋の光を感じました。
伊坂:そうだったら嬉しいですね。第1部もキツイだけではなく、その後は話がどんどんひっくり返るので、ぜひ挫折しないで読み進めてみて下さい。と言いつつ、今から目に浮かびますね…楽天ブックスで「憂鬱でした、途中で読むのを止めました」と書かれるのが(苦笑)。

--やはりレビューは気になるものですか?
伊坂:今はもう直接、詳しいことは読まないんですよね。落ち込むだけだから。あ、でも、楽天ブックスといえば昔、レビューを見た時に、もともと通販サイトだからか「綺麗に届きました。これから読むのが楽しみです」といった作品の内容ではなくサービスについてのレビューがあって、癒されました(笑)。今は違うのかもしれませんが。

--そうでしたか(笑)。今回は読者同士で、いろいろ話ができそうな内容でもありますね。
伊坂:どうでしょうかね。いずれにしても、自分が面白いと思うものを書くだけで、それがどう受け止められるかは正直、わからないので、祈るのみなんですよ。ただ、今回は、「みんな怒るかなあ…」という不安は大きいですけど(苦笑)。

--今年は小説家デビュー15周年でもありますね。
伊坂:15年もよくやってきたなって。この作品に関していえば、最初はちょっとシビアに感じるかもしれませんが、基本的には娯楽小説なので、楽しく読んでもらえたらと思います。僕にとっての小説は、架空の宇宙で、そこで自分が何を言いたいというより、「これを読んだから、まだもう少し大丈夫」みたいな気持ちになってもらえるのが理想なんですね。

 以前、ある著名な方の話で、子供の頃、『ローマの休日』の映画を見終わった時に真っ先に思ったのが、「よし、宿題をやろう!」だったんですって。何だか、それは一つの理想かな、と思います。僕もサラリーマンだった頃、映画を観終わって感動すると、「しょうがない、嫌だけど明日も会社に行くかあ」と思うことも多かったので。元気をもらう、のとはちょっと違うけれど、フィクションの役割って、そういうものかなと思うんですよ。【取材】 宇田夏苗 



<小説家を作る読書遍歴>
今、本屋に平積みで置いてある『キャプテンサンダーボルト』が、売れっ子作家2人による合作ということで気になるわけです。

『雑誌BRUTUS(特集:読書入門)』に読書遍歴に関するお二人の対談が載っているので、見てみましょう。
なんか、出版社の回し者みたいになったけど・・・ま いいか♪
合作


<小説家を作る“読書遍歴”>p70より
 本を書く人は、本を愛し、読書を愛する人。完全合作というスタイルで書かれた小説『キャプテンサンダーボルト』も話題沸騰中の2人の小説家に、彼らを作った読書の歴史と、小説家の頭の中身を教えてもらった。

阿部:読書への入門は、映画やミュージシャンの影響が大きかった。初めて自分で買って読んだ純文学は三島由紀夫なんですが、それも映画『戦場のメリークリスマス』の周辺情報として、デヴィッド・ボウイが『禁色』を読んでいたと知って。伊坂さんの読書遍歴は非常に正統な歴史を辿っている感じがします。

伊坂:母が推理小説好きだったのでドイル『シャーロック・ホームズ』、アガサ・クリスティ『名探偵ポワロ』シリーズ、江戸川乱歩などを読むようになりました。阿部さんは小学生にしてニーチェですか!?

阿部:いや、映画『2001年宇宙の旅』で同名の音楽が出てきたので手にとってみたけど、すぐ棚へ(笑)。
 家の前に本屋があって、本が身近にある環境ではありましたが、マンガと映画雑誌ばかり読んでいました。小説を意識的に読むようになったのは映画学校に入ってからです。

伊坂:僕も純文学は大学生頃からで。恥ずかしながらSFに至っては本当に最近です。名作を今頃読んで、自分が考えたアイデアがすでに使われていたりするので本当にすごいと思ったりしています。
 エンタメはミステリーや冒険小説が多くて、今もその読書体験がベースになっています。

阿部:フィリップ・K・ディックの『ヴァリス』は僕のデビュー作『アメリカの夜』でも大きく取り上げています。まぁあの作品に出てくる小説は自分にとってどれも大変重要なものばかりで、ベースといえばそれらが大きなものなっているかなぁ。

伊坂:ディックは新訳も話題ですね。

阿部:日本語訳としては問題があるのかもしれないですが、僕は前の訳が好きです。あれでもう自分の体に入っている感じがある。しんどかった『ピストルズ』の連載中も、『ヴァリス』を開くと、小説っていいもんだな~と思えた。モチベーションを上げる起爆剤のような存在です。

伊坂:そういう存在ってありますね。島田荘司『本格ミステリー宣言』のあとがきに、「あまり広いとは言えない日本列島だが、この中には現在の推理文壇を震撼させる才能が潜んでいる」とあって、高校生の僕はまだ小説を書いてもいないのに「ここにいます!」と思っていました。あとは坂崎乙朗『絵とは何か』を読んで、創作をして生きていきたいと考えるようになりましたね。

阿部:僕は19歳で村上龍『限りなく透明に近いブルー』を読んで、それまで自分の世界と切り離されていたと思っていた作家という職業が、自分の未来としてあり得ないものではない、と思ったのを覚えています。

伊坂:“日本一のニワカ村上龍ファン”を自称する僕からすると、阿部さんも村上龍さんが好きだというのが嬉しい。実は2014年になって、『五分後の世界』や『イン・ザ・ミソスープ』を初めて読みまして(笑)。

阿部:昔の作品に新鮮に出会うことができるのは小説の魅力ですね。文学に対する考え方は、セルバンテス『ドン・キホーテ』で培われました。文学というものは決まった枠の中で書かれなければならない、という固定観念を払拭してくれた作品です。

伊坂:小説はこんなにも自由だ!という驚きでしょうか。僕は佐野哲也『イラハイ』がすごく衝撃的でした。デビュー直前、こんな面白いものがあるのに自分が作家になっていいのか、と逡巡した覚えがあります。

<2人の文学青年を震えさせた大江健三郎という小説家>
阿部:純文学にもある種のストリート感覚がある、と知ったのは大江健三郎の『不満足』からでしたね。

伊坂:僕は初期の作品が好きで、強いて一作選ぶなら『洪水はわが魂に及び』が一番です。

阿部:物語的にも起伏があって、エンターテインメントですよね。『ピストルズ』を構想するにあたり、こういうものを書きたいと思い描いたのが『懐かしい年への手紙』でした。

伊坂:そうなんですか!大江さんの中期の集大成的な作品ですよね。

阿部:そうですね。大江さんと同じような経歴を辿った大江さんと思しき語り手が、自分の作家歴とか人生を回顧しつつ、現在の大きな事件につながっていくんですけれども。

伊坂:なるほど。『ピストルズ』につながりますね。僕には、これが一番面白い!と思う読書体験というのが数年に一度訪れる。例えば大西巨人『神聖喜劇』や莫言『転生夢現』。そして今その座に鎮座しているのは『ピストルズ』なんです。連載当時から、同世代だし嫉妬もあって(笑)、タイトルからしてやられたなぁと思っていました。

阿部:恐縮してしまいます。『神聖喜劇』、僕は柄谷行人、蓮実重彦『闘争のエチカ』で知り、ほかにも作中で語られるタイトルをいろいろ読みました。『闘争のエチカ』は現在絶版ですが『柄谷行人蓮実重彦全対話』で読めるようになりましたね。

伊坂:本が好き、といっても、美しい表現に文芸というものと、トンデモホラ話みたいな系譜の2つがあるような気がするんです。実は大江さんって純文学だし私小説風なんだけど、トンデモホラ話じゃないですか。最近『取り替え子』を読んだんですけど、ヘッドホンのことを“田亀”って書いていたり、言葉の選び方がかっこいいんですよね。その上真顔でホラを書く。やばいんですよ。

阿倍:おかしいですよね(笑)。

伊坂:それで「あれは作り話だ」って指摘されたら、次の作品にその事実を引用してみたりして。『ピンチランナー調書』に出てくる「リー、リー、リー」という響きにどきどきさせられたり、この言語感覚が本当に好きです。

阿倍:以降どんどん複雑化して、奇妙奇天烈な小説をさらにお書きになるわけですが(笑)。いつまでも丸くならず、これからも“最後の小説”を何度でも書いていただきたいなと。

伊坂:これが最後、という宣言を何度もされていますもんね。大江さんの本は若い人が読まないのはもったいないと思います。面白いし、大人げもなくて、パンクです。



【キャプテンサンダーボルト】
キャプテン

阿部和重, 伊坂幸太郎著、文藝春秋、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
世界を救うために、二人は走る。東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29。公開中止になった幻の映画。迫りくる冷酷非情な破壊者。すべての謎に答えが出たとき、カウントダウンがはじまった。二人でしか辿りつけなかった到達点。前代未聞の完全合作。

<読む前の大使寸評>
売れっ子作家2人による合作ということで気になるわけです。サスペンス仕立てなので、それなりに面白そうである。
エキサイトニュース阿部和重と伊坂幸太郎の合作で『キャプテンサンダーボルト』が抜群におもしろいに、合作のウラ話が載っています。

<読後の寸評>
コピー機のサービスマン井ノ原が盗んだ情報で家計の足しにするところなんか、生活感があるというか、サスペンスが増すわけです。

無鉄砲な(結果オーライの)疾走感が感じられるのだが・・・
伊坂幸太郎に阿部和重という悪友が加わり、スピードは倍加しているわけです。
(スピードアップというよりも、結果オーライのてんこ盛りで・・・・
サスペンスのプロット構成もへったくれもないのです)

パンデミックというシリアスな題材を扱いながら、犬のポンセの気紛れな行動で、押し寄せる危機を回避しているわけで・・・
サスペンスをなめているというか、エンタメ志向なんでしょうね♪

<図書館予約:(1/07予約、5/19受取)>

rakutenキャプテンサンダーボルト




<ゴールデンスランバー>


「ゴールデンスランバー」シネマトゥデイより

ゴールデンスランバー

人気作家・伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説を、『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き中村義洋監督が映画化したサスペンス。巨大な陰謀に巻き込まれ、首相暗殺の濡れ衣を着せられた宅配ドライバーの決死の逃避行をスリリングに描く。主演は、中村監督の『ジェネラル・ルージュの凱旋』でも共演している堺雅人と竹内結子。そのほか吉岡秀隆、劇団ひとり、香川照之、柄本明といった実力派キャストが顔をそろえる。



「ゴールデンスランバー」新潮社より
 冴えわたる伏線、印象深い会話、時間を操る構成力……すべての要素が最強の、伊坂小説の集大成!!

仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか? 





<アヒルと鴨のコインロッカー>

【アヒルと鴨のコインロッカー】
アヒルと鴨
中村義洋監督、H24.2.2観賞

<大使寸評>
観客をもてあそぶような意外な展開は、原作によるのか、監督によるのか?
伊坂幸太郎の原作はまだ読んでいないが、周到なプロットとプロット明かしがあるだろうと構えて見たけど・・・見事にだまされたのです。

goo映画アヒルと鴨のコインロッカー




<伊坂幸太郎の「砂漠」 >
映画「ゴールデンスランバー」が面白かったので、伊坂幸太郎「砂漠」を図書館で借りたのです。
冒頭では・・・
新入生でマージャン仲間を作るために、東西南北にちなむ名前の仲間を集めるところがふざけているが・・・・・それが、娯楽小説の真骨頂なのかも知れないですね。
自前のイデオロギーに忠実な西嶋が、マージャンでは負け続けても平和(ピンフ)であがることを目指すが・・・・特異なキャラクターである(あんたは偉い!)

ま~、気の利いた会話をたたみかけて小説を紡ぎ出す、伊坂さんのうまさには驚きますね。
この小説を読むと「暇だから小説でも書いてみるか」という大使の大それた考えは身の程知らずとわかり、撤回することにしました(当然です)

冗談はさておき、この小説は映画「ゴールデンスランバー」とよく似た雰囲気が出ているけど・・・・・
それは、仙台にこだわる伊坂ワールドとして当然でもあるが、映画「ゴールデンスランバー」を作った中村義洋監督の手腕によるところが大きいのかも知れませんね。

ネットから、関連情報を集めてみました。

砂漠より

砂漠「砂漠」伊坂幸太郎著、実業之日本社

伊坂幸太郎 1年半ぶりの書き下ろし!!
麻雀、合コン、バイトetc……普通のキャンパスライフを送りながら、「その気になれば俺たちだって、何かできるんじゃないか」と考え、もがく5人の学生たち。社会という「砂漠」に巣立つ前の「オアシス」で、あっという間に過ぎゆく日々を送る若者群像を活写。日本全国の伊坂ファン待望、1年半ぶりの書き下ろし長編青春小説!


「砂漠」著者インタビュー 伊坂幸太郎さん


【フィッシュストーリー】
伊坂

伊坂幸太郎著、新潮社、2007年刊

<「BOOK」データベースより>
最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。
【目次】
動物園のエンジン/サクリファイス/フィッシュストーリー/ポテチ

<大使寸評>
ポテチが映画化されたがまだ観ていないのです。で・・・
小説を先に読んで、そのあと観るのも一興かと思ったので、借りたのです。
伊坂幸太郎の小説には、周りの空気が読めない正義、勇気がよく出てくるが・・・
ドンキホーテのようなツッパリがわりと好きである。


rakutenフィッシュストーリー




<モダンタイムス>



【モダンタイムス】
モダンタイムス

伊坂幸太郎著、講談社、2008年刊

<「BOOK」データベースより>
5年前の惨事―播磨崎中学校銃乱射事件。奇跡の英雄・永嶋丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。謎めいた検索ワードは、あの事件の真相を探れと仄めかしているのか?追手はすぐそこまで…大きなシステムに覆われた社会で、幸せを掴むには―問いかけと愉しさの詰まった傑作エンターテイメント。

<大使寸評>
30世紀ころの日本で、浮気調査を仕掛ける妻や占いメールから、なにやら不穏な空気が漂い、つかみがうまいんですね。
SEの仕事中に幻魔大戦の話が出てくるあたりに・・・・この小説は漫画雑誌に連載だったことに気がつくわけです。

著者が「ゴールデンスランバー」と2卵生双生児のような小説であると述懐しているように・・・なるほど、突拍子もない展開が似ています。
Amazonモダンタイムス


この本の一部を紹介します。
p444~447
 私はあまり挑発的な表現にならないようにと言葉を選ぶが、結局は、「そんなに大したことでもないんじゃないですか?」と挑発のこもった言い方をしていた。「ネット検索を監視して、口封じを徹底させて、約束を破った人間を攻撃して、そんなことまでして隠すようなことなんですか?大袈裟に過ぎますよ」
「渡辺、いいことを言った」五反田正臣が、私を褒めた。滅多にないことだから、ちょっと怖くなる。「その通りだよ。事件の真相をこんなに必死に隠す必用があるのか?ばれたところで、緒方というおじいちゃん先生のせいにしちゃえばいいじゃないか」
 言いたいことは分かる、と永嶋丈は言った。分かるが、そうじゃない、と。
 「そうじゃない?」私と五反田正臣の声が、気の会う友人同士のように重なった。「何がそうじゃない?」 
 「播磨崎中学校の事件は、隠蔽することに目的があるんじゃない。もちろん、隠蔽することが発端になったのは間違いないが、それとは別の流れができたんだ。ある一人の男を、英雄として確立させて、国家の中心に据えるという動きだ」

(中略)
「それがどういう関係があるんですか」私が興味を持っているのは、進化の話よりも播磨崎中学校の話だった。
「進化は試行錯誤なんだ。正しい進化の仕方や方向性なんて、明確に存在していない。長い時間をかけて、突然変異と適応による生き残りが繰り返される。その結果、生き延びていく」
「だとしたら?」岩手高原で会った安藤詩織が、いつだって試行錯誤の日々だと語っていたのを思い出す。
「国家と呼ばれるものもそれと似ている」
「国家が?国家は動物じゃないですよ」
「いや、ある一面で動物に近いんだ」永嶋丈は言い切る。「国家は、機械的で、システマティックなものでは決してない。そう思わないか?いろんな人間、政治家や官僚のエゴや自尊心、嫉妬や欲望が複雑に絡み合って、予想もしない現象を起こす。動物の行動と同じで、論理的には計算できない」
「論理的に計算できないなんて、国家じゃないですよ」私は言った。「憲法や法律があるじゃないか。法律を守る、という論理はあるはずだ」
「そうじゃない。国家は、憲法や法律よりも当然、長生きをしている。そうだろう?法律なんてものは、始終、変わっているんだ。国家はもっと複雑な欲望のために生きている」
 それを聞き、私は、井坂好太郎の言っていた、「国家の目的は、国民の暮らしを守るわけでも、福祉や年金管理のためでもない」という話を思い出していた。国家は自分が存在し続けるために動く。彼も確かにそう断言した。




<伊坂幸太郎の頭の中>


【伊坂幸太郎の頭の中:野性時代84号】
伊坂
雑誌、角川書店、2010年刊

<内容紹介より>
「野性時代」11月号は、『マリアビートル』刊行記念・総力特集「伊坂幸太郎の頭の中」。伏線の妙、しゃれた会話、人物の魅力――唯一無二の伊坂ワールドはどのように生まれるのか? その小宇宙の秘密に迫ります。

<大使寸評>
図書館の旧雑誌放出で入手したが、拾い物であった。
Amazonも、比較的新しい雑誌は取り扱っているようです。

Amazon伊坂幸太郎の頭の中:野性時代84号


伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
伊坂幸太郎 特集

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