吉岡桂子記者の渾身記事15

<吉岡桂子記者の渾身記事15>
朝日のコラム「波聞風問」にチャイナウォッチャーとも言える吉岡桂子記者の記事を見かけたので紹介します。
吉岡


吉岡記者が、中国の友人を気遣っています。

2015.5.24<拘束中の友へ 再び会い、議論できる日を>より
 浦志強(プーチーチアン)さん、ニンハオ。

 中国を代表する人権派弁護士として知られるあなたが、中国当局に拘束されて1年余りが過ぎました。民主化運動が弾圧された天安門事件から25年を迎えた昨年春、知人宅で開かれた事件を研究する会に参加したことが、拘束のきっかけでした。

 数日前、民族の恨みをあおったり、騒ぎを挑発したりした罪で起訴されたニュースが流れました。ずっと心配していた日本の弁護士や研究者たちは、とても怒り、悲しんでいます。米国政府は深い懸念と早期の釈放を、欧州連合(EU)は裁判の公正と外国の大使館員の傍聴を、それぞれ求めています。

 中国内でも内陸の重慶市の庶民10人が、あなたへの迫害に反対する声明を出しました。当時の市トップの政治手法を批判したネット発言を理由に、司法手続きなしで拘束されたところを助けられた、と書いてありました。地方の共産党幹部から訴えられた作家を、自由な言論が社会の公正を保つとの考えから弁護したこともありましたね。

 中国版ミニブログで10万を超すフォロワーがいた、あなたに対しても、共産党の政策に批判的な書き込みが問題視されていたようです。「相手(ウイグル族)を敵と見なすなんて、でたらめだ」「釣魚島が中国のものかどうかなんて、私とは何の関係もない」「もし日本が中国の一部を統治したら環境保護、教育、医療面で状況は今よりも良くなっていた」などの部分です。

 北京に住む知人は「影響力をもつ彼を黙らせ、社会の改革に向けて発言する人々を牽制(けんせい)するためだ。言論の空間は狭まっている」と起訴を嘆いています。昨年来、多くの弁護士や記者、NGOの活動家が捕らえられています。70歳を超える人までも。年長者を重んじる儒教の故郷として、暗黙の了解で拘束を免れてきた年齢なのに。

 中国では歴史的に、政治家から経済人、庶民にいたるまで、日本との縁がいつなんどき悪材料に転じ、「友人」を苦しめることになりかねない。そう悩む日本人もいます。中国とうまく商売をするには、余計な口出しは禁物と考える人もいます。

 しかし、中国がルールに従って動く国になることは、日本の経済にも安全保障にも深くかかわります。その実現に努める中国の方々との交流の積み重ねは、関係の安定を築く礎になると信じています。再び会い、日本の言論環境の変化を含めて意見交換できる日を待つ人もまた、たくさんいます。

 拘束中のあなたに宛てた奥様からの公開書簡を読みました。厳しい調べによる嘔吐や失神、糖尿病や高血圧の持病を案じていらっしゃいました。北京の厳しい夏がすぐそこです。くれぐれも保重身体(お大事に)。


吉岡記者がAIIBとADBの競合について、正論を語っています。

2015.5.3<ADBとAIIB 競い合うべきものとは>より
 カスピ海沿いの資源の都、アゼルバイジャン・バクー。第2次世界大戦時にヒトラーも狙った油田を抱える国で2日、開発金融を担うアジア開発銀行(ADB)の総会が始まった。来年には50周年を迎えるADBは、中国主導で創設されるアジアインフラ投資銀行(AIIB)から挑戦を受けている。

 ADBの初代総裁を務めた元大蔵官僚、渡辺武氏(故人)は著書「アジア開銀総裁日記」に、こう書く。

 「アジアから見た日本は、郷土を捨てて都会に走り、成功者として再び郷土に戻ってきたものに似ている」

 ADBの設立は戦後20年あまりたった1966年。日本が「大東亜共栄圏」を掲げてアジアを舞台に戦った歴史の記憶が、今よりずっと濃い時代だ。渡辺氏は、こうも記す。「経済大国にのしあがった」日本が受け入れられるかどうかは、自らの振る舞いで決まると。日本にとってADBは、経済を通じてアジアとの関係を築き直す道具でもあった。

 発展を急ぐアジアの国々では、高度成長を享受する日本の経済力への期待が高まっていた。いっぽう、警戒や反感もあった。本店選びは3回の投票を経て、東京は1票差で敗れてマニラに奪われている。

 米国との関係も微妙だった。

 米欧の一部は「世界銀行があるのになぜADBが必要か」と懐疑的だった。本店誘致をめぐっても、米国は「極めて冷淡」で「常に味方と考えて、全面的に信頼する危うさ」を指摘する日本の外交文書も残る。

 慎重だった米国が加盟に転じた背景には、ベトナム戦争がある。東南アジアへの関与を強める必要が高まったからだ。東西冷戦下では、ADBも「反共」戦略の一部だった。

 当時を知る人によれば、複雑な立ち位置の日本は、出過ぎないよう配慮しながらADBの創設と運営に取り組んだという。多くの議論は国連のアジア極東経済委員会で進められている。

 AIIBを今、大国間の政治ゲームの断面で切りとれば、中国の「圧勝」に映る。この地域に深く関与してきた日米の否定的な態度をよそに57カ国を集めてみせた。だが、途上国や新興国の開発や成長への支援は本来、息の長いものである。「一回裏」でゲームは終わらない。

 中国の台頭で、日本がアジアで唯一の経済大国ではなくなった。同時に、50年前のアジアと異なり、開発独裁下にあった多くの国は民主化した。プレーヤーは政府や権力と結んだ財閥だけではない。国境を越えて共有できるルールを提案するには、幅広い接点が必要だ。ADBにもAIIBにも、資金を調達する世界の市場や株主を抱える企業、住民やNGOと協力しあう力こそが試されている。



ここで以前のインタビュー記事を紹介します
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<吉岡桂子記者の渾身インタビュー記事>
中華文明に関する吉岡桂子記者渾身のインタビュー記事を紹介します。

台湾、ひまわりの芽は邱義仁2015.3.17
中国、権力と文学閻連科2015.2.06
政治化するナショナリズムワンチョン2014.11.15
中国、成長の罠香港大学教授2014.02.26
中国の「不動産バブル」大手不動産会社トップ2014.01.28
中国 国有企業の行方張維迎2013.11.07
中国と影の銀行張維迎2013.8.02

朝日新聞の吉岡記者といえば、チャイナウォッチャーとして個人的に注目しているわけで・・・・
その論調は骨太で、かつ生産的である。
中国経済がらみで好き勝手に吹きまくる経済評論家連中より、よっぽどしっかりしていると思うわけです。

波聞風問一覧に吉岡記者の中国論が載っています。

<吉岡桂子記者の渾身記事14>

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