この人たちについての14万字ちょっと

<この人たちについての14万字ちょっと>
図書館で重松清著『この人たちについての14万字ちょっと』という本を手にしたのです。重松清さんの作品は、まだ読んだことはなかったが・・・・
この本の腰巻に書かれた対談メンバーとコピーにつられて借りたわけです。


【この人たちについての14万字ちょっと】
14万

重松清著、扶桑社、2014年刊

<商品説明>より
重松清氏によるインタビューをメインとした作家論の連載を単行本化。対談形式ではなく、「作家論に踏み込んだインタビュー」がメインとなり、インタビューパートも重松氏が執筆。時代の第一線で活躍する作家たちの人気の秘密や作家たる源泉を作家の視点で深く掘り下げた作家論

<大使寸評>
重松清さんの作品は、まだ読んだことはなかったが・・・・
この本の腰巻に書かれた対談メンバーとコピーにつられて借りたわけです。

インタビューをメインとした作家論とのことであるが・・・
このアイデアは編集者から出たものかもしれないが、著者はこの企画をじゅうぶんにこなしているように思った次第です。

rakutenこの人たちについての14万字ちょっと


この本の腰巻にも書かれている「まえがき」の一部です。

<まえがき>より
 ひとに会う企画である。人選は僕に任せてもらった。基準は、ただ一つ。インタビューの最初の質問で声が震えてしまいそうなひとに限る、とした。
 間違っても、新刊のPRを兼ねた「社交」の対話にしたくない。ちょっと格好をつけて言い換えれば、「俺でいいのか?」という問いを突きつけられつつのインタビューでありたい、ということでもある。

 だから、やはりこれは『en-taxi』でやるべき、『en-taxi』でなければできない連載だったのだと思う。
 ずっとお目にかかりたくて、ようやく初対面が叶ったひとがいる。何度目かの対話であっても、向き合うたびに畏れを新たにするひとがいる。

・・・なかなか掴みのうまい「まえがき」ではないでしょうか♪
(少なくとも、私と言う読者を重松さんは掴んだのです)

浦沢直樹とメビウスの関係が、大使のピンポイントのこだわりになるので・・・
勝手ながら、この本でそのあたりを見てみます。
PLUTOPLUTO


<浦沢直樹 巨大なるマイナー>よりp101~103
重松:大友さんをはじめとするニューウェーブの影響は大きかった?

浦沢:『少年ジャンプ』的なマンガではないマイノリティに対するシンパシーは寄せていました。それはあるんだけど、あっちの世界に行くと、清貧というかなんともいえない貧しさが待ってる感じがして、自分とはちょっと違うなあ、と。その一方で、あんなに素晴らしいものなのに世間になぜ受け容れられないんだろう、という疑問や憤りがずっとあったんですよ。

 BDのメビウスもそうでしょ?日本で真っ向からメビウスに共振してモノを創っても、絶対に世間からは無視されてしまう。だから、そうではないなにかを見つけたいし、それはあるはずだ、と。

重松:近年の浦沢さんの長編には、入れ子構造、作中作を入れる構造が目立ちます。『MONSTER』なら絵本の『なまえのないかいぶつ』、『20世紀少年』ならバーチャルアトラクションで繰り広げられるケンジたちの少年時代、『BILLY BAT』ではケヴィン・ヤマガタの描くアメコミがあるし、手塚治虫の作品を換骨奪胎した『PLUTO』も、物語が二重になっている。

浦沢:物語内物語が多いよね。

重松:その構造の中にマイナーポエットのものを入れ込んでしまうのも、いまおっしゃった「そうではないなにか」の一つではありませんか?

浦沢:そうですね。あの絵本なりアメコミなりを単体でやっても世間は見てくれない。でも、中に入れてしまって、「ほら、こうやったら、ちゃんとみんなが見てくれるものになるでしょう」というのはあります。

重松:そのときの「世間」というのは、マンガ好きではない人たちも含めてのことですよね。

浦沢:「ツウ」には受けても、やっぱりマンガというのはポピュラー文化だから、お茶の間にどーんと置かれなくちゃ・・・・ということなんです。極端に言えば、メビウスから『サザエさん』までの振り幅がないと。

重松:ただ、「世間」は『サザエさん』のほうにだけ目を向けませんか? 振り幅の片方があまりにもメジャーすぎると、そっちしか見てもらえない、というジレンマが生まれそうな気がするのです。

 浦沢さんの初期作品には大友克洋さんの影響がすごく感じられるし、過去のインタビューではメビウスや『タンタン』のエルジェへのシンパシーが何度も表明されています。でも、そっち側にも振り幅があることが『YAWARA!』などの大ヒットの前では霞んでしまって、「世間」になかなか伝わっていかない。

浦沢:それはデビュー以来ずっと、いまだに抱えている難問なんですよ。僕自身は「同志」のつもりでいるマンガ家から「あいつはメジャーだから」「浦沢は違う世界の人間だから」と思われているんじゃないかと胸を締めつけられてしまうような感じがあって・・・・。

 ようやく変ってきたのは、ここ2、3年ですね。江口寿史さんと『フリースタイル』という雑誌で対談したあたりから、僕が「同志」だと思ってきた人たちと触れ合うことができて、僕がちゃんと話すと、あちらが「あれ?」となるのがわかるんです。 


浦沢さんは、やはり、メビウス路線を目指してほしいものですね。
アルザック1
メビウス-アルザック

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