中国中心の国際秩序に対する懸念

<中国中心の国際秩序に対する懸念>
時を同じくして、日米のジャーナリストから、中国中心の国際秩序に対する懸念が表明されたので、紹介します。

どちらも象徴的な「シルクロード復活」に注目して論説しているが、既存の国際秩序に挑戦するかのような中国に冷めた視線を注いでいます。もちろん米国のほうが厳しい見方になっています。

先ず米国ジャーナリストの弁を見てみましょう。

12/19中国が目指す中国中心の国際秩序より
 米国ワシントン・ポスト紙のコラムニスであるファリード・ザカリアが、11月13日付の同紙に「中国の増大する力」と題する論説を寄せ、中国は既存の国際秩序に挑戦しており、アジアでの冷戦にもなりかねない、と論じています。

 すなわち、ロシアはその部隊をウクライナに送り、西側に正面から挑戦しているが、長期的には中国がより大きな脅威である。ロシアは、世界のGDPの3.4%しかない衰退する大国である。一方、中国のGDPは16%で、世銀によると、日本の約4倍、ドイツの5倍にあたる。

 オバマ大統領と習近平主席が気候変動について歴史的合意をしたのは良いが、中国政府は、米国が作った1945年以来の戦後国際秩序を、中国の秩序で置き換えようとしている。もし中国がこの道を継続すれば、この四半世紀で最も重要で危険な国際政治のシフトになろう。

 もちろん、胡錦涛時代にも、米国に替わり、中国が世界を主導するように求める本、例えば『中国の夢:ポスト米国時代における大国思考と戦略姿勢』などがあった。しかし、習近平の民族主義的言説は増えている。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の統計では、人民日報の反西側論は2014年に前年比3倍に増えたという。中国は、アジアその他の地域で、既存国際秩序の代替を提案している。

 この夏、中国は、IMFに対抗する国際金融機関、BRICS銀行を作ることで関係諸国と合意した。10月、中国は、世銀に対抗する500億ドルのアジア・インフラ投資銀行を立ち上げた。また、習近平は、「シルクロード」復活を推進すると述べた。

 中国が公共財を提供するのはよい。しかし、中国は、既存の秩序を強化、改革するよりも、それに取って代わる中国中心の秩序を望んでいるように見える。習近平が、アジア相互信頼醸成会議で「アジア人がアジアの安全保障を確保すべきである」と述べたように、中国の構想では、米国が除かれている。

 キッシンジャーは、最近の著書『世界秩序』で、中国は平等な国家からなる世界システムになじめず、自国を世界のトップ、唯一の主権国家と考え、外交は交渉よりも世界階層秩序での各国の位置付けを決めるものと考えている、と述べた。

もし、中国が他国に既存システムか、新秩序かを選択するように要請すれば、アジアでの新冷戦の条件を作り出しかねない。それはアジアでの平和、繁栄を可能にしてきた現在の国際秩序を掘り崩すことになろう、と述べています。

中国は世界システムになじめず、自ら四面楚歌を作り出して、攻撃的あるいは防御的姿勢の強化に余念がないのが、怖いのです。

次は日本側ジャーナリストの弁です。
弁士は大使が注目株としてフォローしている朝日の吉岡記者なんですが。

12/21く海も陸もすべての道を北京へ>より
吉岡

 かつてのシルクロードにある資源国、カザフスタン。故・黒川紀章氏が基本設計を手がけた首都・アスタナの国際空港に14日午後、中国の李克強・首相が降り立った。ロシア、中央アジアの国々と安全保障や経済の協力について話しあう「上海協力機構」の首脳会議に出席するためだ。

 「中国はインフラ整備の経験を蓄えており、強力な製造能力と、値段のわりに性能のよい製品をもつ」。李氏は、2017年に中央アジア初の万博をひかえる街で売り込んだ。400億ドル(約4兆8千億円)規模の「シルクロード基金」を使い、中国から西へと延びる「シルクロード経済帯」を開発する計画に協力をうながした。

 その発言は、習近平・国家主席の地域外交戦略のキーワード「一帯一路」に由来する。中央アジアを横切る陸路の経済帯と、東南アジアから南シナ海、インド洋に抜ける「海のシルクロード(路)」をさす。中国を起点に最大の貿易相手の欧州を結ぶ、壮大な経済圏を築く構想である。

 「五通」と呼ばれる目的は、道路を敷き、貿易を増やし、政策を共有し、人民元を広めること。そして、人心を通わせるのだという。その道具が、シルクロード基金など中国単独の資金源と、中国が主導して二十数カ国で立ち上げる国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」という位置づけである。

 中国の戦略は明確だ。これまでのような高度成長が終わり、自国企業の投資先や製品の輸出先、そして「公共事業」の受け皿として、近隣国がより重要になっている。政治的にいえば、不安定な内政に集中するためにも、カネの力で対外関係を安定させつつ、資源を運ぶルートや軍事の要衝の確保もねらう。

 すべての道を北京に導くような「シルクロード構想」を「中国版マーシャルプラン」と呼ぶ中国メディアもある。第2次世界大戦後、米国が西欧を援助することで自国産品や通貨を広めた計画を、中国がアジアを舞台に再演している、という認識である。

 さらにさかのぼり、清代まで続いた朝貢外交の復活を思う人もいる。経済力にひかれて頻繁に北京詣でをする各国首脳の姿と、その見返りのようにみえる援助に、中国を中心とした秩序が東アジアによみがえりつつある、と。

 もちろん今の国際社会は、東西冷戦の時代でも、中国の皇帝が周辺国の王と上下関係を結んだ時代でもない。ただ、日本がアジアで圧倒的な経済力をもつ時代が過ぎ去ったことも、また事実だ。

 中国が打ち出す地域戦略に、日本はどう向き合うのか。戦後70年を迎える来年、仲間づくりのために積んできた自らの「資産」をじっくりと考えたい。

中華の台頭と日本の衰退は客観的な事実であるが、日本としては事実に即した戦略を新たに築く必用があるんでしょうね。
(嫌中論になびかない吉岡記者の卓見には、ややいらつく大使でんがな)

この記事も東アジア共同体構想7に収めておきます。

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