吉岡桂子記者の渾身記事8

<吉岡桂子記者の渾身記事8>
朝日のコラム「波聞風問」にチャイナウォッチャーとも言える吉岡桂子記者の記事を見かけたので紹介します。
吉岡

中国の戦略を熟知した吉岡記者であるが、長期的でかつ地政学的なスパンで中国を注視しています。

12/21く海も陸もすべての道を北京へ>より
 かつてのシルクロードにある資源国、カザフスタン。故・黒川紀章氏が基本設計を手がけた首都・アスタナの国際空港に14日午後、中国の李克強・首相が降り立った。ロシア、中央アジアの国々と安全保障や経済の協力について話しあう「上海協力機構」の首脳会議に出席するためだ。

 「中国はインフラ整備の経験を蓄えており、強力な製造能力と、値段のわりに性能のよい製品をもつ」。李氏は、2017年に中央アジア初の万博をひかえる街で売り込んだ。400億ドル(約4兆8千億円)規模の「シルクロード基金」を使い、中国から西へと延びる「シルクロード経済帯」を開発する計画に協力をうながした。

 その発言は、習近平・国家主席の地域外交戦略のキーワード「一帯一路」に由来する。中央アジアを横切る陸路の経済帯と、東南アジアから南シナ海、インド洋に抜ける「海のシルクロード(路)」をさす。中国を起点に最大の貿易相手の欧州を結ぶ、壮大な経済圏を築く構想である。

 「五通」と呼ばれる目的は、道路を敷き、貿易を増やし、政策を共有し、人民元を広めること。そして、人心を通わせるのだという。その道具が、シルクロード基金など中国単独の資金源と、中国が主導して二十数カ国で立ち上げる国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」という位置づけである。

 中国の戦略は明確だ。これまでのような高度成長が終わり、自国企業の投資先や製品の輸出先、そして「公共事業」の受け皿として、近隣国がより重要になっている。政治的にいえば、不安定な内政に集中するためにも、カネの力で対外関係を安定させつつ、資源を運ぶルートや軍事の要衝の確保もねらう。

 すべての道を北京に導くような「シルクロード構想」を「中国版マーシャルプラン」と呼ぶ中国メディアもある。第2次世界大戦後、米国が西欧を援助することで自国産品や通貨を広めた計画を、中国がアジアを舞台に再演している、という認識である。

 さらにさかのぼり、清代まで続いた朝貢外交の復活を思う人もいる。経済力にひかれて頻繁に北京詣でをする各国首脳の姿と、その見返りのようにみえる援助に、中国を中心とした秩序が東アジアによみがえりつつある、と。

 もちろん今の国際社会は、東西冷戦の時代でも、中国の皇帝が周辺国の王と上下関係を結んだ時代でもない。ただ、日本がアジアで圧倒的な経済力をもつ時代が過ぎ去ったことも、また事実だ。

 中国が打ち出す地域戦略に、日本はどう向き合うのか。戦後70年を迎える来年、仲間づくりのために積んできた自らの「資産」をじっくりと考えたい。

中華の台頭と日本の衰退は客観的な事実であるが、日本としては事実に即した戦略を新たに築く必用があるんでしょうね。
(嫌中論になびかない吉岡記者の卓見には、ややいらつく大使でんがな)


中国でもトマ・ピケティ教授の人気は絶大のようだが・・・
中国での格差拡大は、政治学の範疇であると教授は暗に指摘しています。
(中国共産党は、この程度の皮肉は許容するようですね)

11/30「21世紀の資本」論 格差への処方箋、どうつくるより
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席する首脳たちが北京に集まっていた11月11日。「明星(スター)」経済学者がパリから上海にやってきた。

 托馬斯・皮凱蒂。パリ経済学校教授のトマ・ピケティさん(43)だ。

 格差の変化や所得の分配と経済成長について、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータを駆使して論じた著書「21世紀の資本」は米国から火がつき、ドイツ、韓国などで翻訳版が出て話題を呼んでいる。

 中国語版も9月に発売された。700ページ近い大著の売り上げが20万部に迫る勢いだという。中国は深刻な格差を抱えるうえ、「米国流資本主義の限界を突いた」(大学院生)内容にみえる点も、人気の背景にあるようだ。

 北京を含めた6日間の滞在中、ひっぱりだこだった。空港に着くなり、書店へかけつけサイン会や写真撮影。「講演10回、会見2回、インタビュー10回」(中国誌『南方人物週刊』)。彼の高校生の娘が中国語を学んでいるエピソードも歓迎されている。

 習近平国家主席の母校、北京の清華大での講演をのぞいた。学生ら数百人が講堂を埋めている。ノータイ姿のピケティさんは、先進国のデータを中心に自著の要約を説明し、中国の研究者と討論し、学生から質問をうけた。

 「中国はデータが不足していて、分析が難しい」。そうこぼしつつも、中国の格差縮小の処方箋として、高所得者ほど高い税率を課す累進課税の強化や、不動産や遺産など財産への課税を説いた。

 これに対して、「高い税率は働く気をなくすのではないか」と問いかける学生も。いっぽう、中国の研究者からは、格差を再生産する構造の根深さへの嘆きともとれる指摘が続いた。出稼ぎ労働者の子供の教育への差別、公務員の腐敗による政府のお金の流失やわいろ……。

 「不動産を含めて個人資産への課税は、中国には基本的にない。反対がとても強い」と白重恩・清華大教授は言う。「ビジネスを円滑に進めるにも公務員の助けがいる」とも。政府との距離が富の蓄積に直結する社会なのだ。

 「社会主義」のもと、資産階級がいない前提で財産税がないなかで、特権をてこに財産を積み上げる人がいる――。中国で格差を拡大させる「21世紀の矛盾」の解は、経済学より政治学の範疇なのかもしれない。「政治の民主は必ずや経済の民主とともにやってくる」。ピケティさんは中国語版の序文に、意味深な一文を寄せている。

 日本語版は選挙戦のさなか12月上旬に売り出される。それぞれの「不平等」を映す世界のベストセラーは、日本ではいま、どんな読まれ方をするのだろうか。


ここで以前のインタビュー記事を紹介します
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<吉岡桂子記者の渾身インタビュー記事>
中華文明に関する吉岡桂子記者渾身のインタビュー記事を紹介します。

政治化するナショナリズムワンチョン2014.11.15
中国、成長の罠香港大学教授2014.02.26
中国の「不動産バブル」大手不動産会社トップ2014.01.28
中国 国有企業の行方張維迎2013.11.07
中国と影の銀行張維迎2013.8.02

朝日新聞の吉岡記者といえば、チャイナウォッチャーとして個人的に注目しているわけで・・・・
その論調は骨太で、かつ生産的である。
中国経済がらみで好き勝手に吹きまくる経済評論家連中より、よっぽどしっかりしていると思うわけです。

波聞風問一覧に吉岡記者の中国論が載っています。

<吉岡桂子記者の渾身記事7>

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