日米アニメ戦争が始まる

<日米アニメ戦争が始まる>
20日から全国で公開した「ベイマックス」であるが…
攻撃的なベイマックスに書いたように、なにやら敵愾心を抱いた大使である。

『日本最強論(文芸春秋SPECIAL:2015冬)』というムック本に載っていた鈴木敏夫さんの弁を聞いて日米アニメ戦争の実態がわかりました。


<「アジアで日米アニメ戦争が始まる:鈴木敏夫」>よりp220~224
鈴木

 宮さん(宮崎駿監督)が引退を表明してから、もう1年あまりが過ぎました。これはスタジオジブリにとってももちろんですが、日本のアニメ業界にとっても大きな節目だったと思うんです。
 とりあえずジブリはいま制作部門を解体して、小休止に入っています。2014年に『思い出のマーニー』を撮った後は、次の映画制作の予定は立てていません。実は、2001年に『千と千尋の神隠し』を作った後も一時、アニメ制作を休んだ時期がありますが、時代が大きく動くときに、ジブリというスタジオに何が出来るのか模索する、そういう時間も必要だというのが、いまの僕らの判断なんです。

 では、いま我々が直面しているのはどういう節目なのか…、説明は難しいのですが、大きく言えば、日本のモノづくりと同じことがアニメ制作の世界でも起きているということなんです。
(中略)
<ジブリは孤塁を守る>
 そして次に何が起きるか。日米による東南アジアのアニメーターの争奪戦です。そこで優秀なアニメーター、スタジオをいかに確保するか、という戦いがもうすでに繰り広げられ始めている。よくiPhoneについて、アイデア、デザインはアメリカのアップル、重要な部品は日本、韓国、台湾で作られ、組み立てるのは中国で、と言われますね。それと同じようなことがアニメの世界でも起きつつあるのです。

 もうひとつ、大きな流れとして見えてきているのは、これは海外、国内を問わずですが、コンピュータで描く、いわゆるCGの分野に優れた若いスタッフが集まりつつある。
 これは手描きのアニメーションを追求してきたジブリとしてはなかなか難しいところですが、宮崎吾郎監督がNHKBSプレミアムで初めてテレビアニメを作ったんです。『山賊の娘ローニャ』という作品ですが、これはすべてCG。ポリゴン・ピクチュアズという制作会社なのですが、ジブリでも一番上手いアニメーターが見学に行って、「みんな上手い」とショックを受けて帰ってきたんです。

 (中略)
 庵野ももうとっくにCG主体となったアニメの現場を想定して、準備を進めているわけです。僕自身は手描きにこだわりがありますよ。しかし、この趨勢は変わらないでしょう。
 しかも、先に挙げたように、アジアの制作現場とも、彼らはネットワークで繋がっています。だから国際的な分業も瞬時にこなせる。
 だから、ジブリ的な手描きアニメーションは伝統工芸として残っていくのだと思います。時代の流れの中で孤塁を守っていく(笑)。

 面白いのは、吾郎監督の『ローニャ』は、すべてCG、それも3Dで立体的に作ったものを、あえてセル画にみせかけている。つまり平面的に見せているんです。その方が日本人には受け入れやすい、と彼は判断したんですね。

 平面か3Dかというのは、これは単純に、画面の質感の好みなのですが、つきつめると、日米の文化の違いにまでたどり着くテーマではあります。アメリカ人はもともと3Dが好きだったんですね。というのは、そもそもアニメーションの初期から、まず人形でキャラクターを作って、それを平面の絵に写生する、という作業をやっていた。また、一度俳優たちに演じさせて、日本は「漫画が動く」ものがアニメーションなんです。平面が動き出すから驚くわけで、平安時代の絵巻物にまで遡る、日本オリジナルのものでしょうね。

<アジア全域で役割分担>
 さて、そうなると、日本のアニメづくりは今後、どうなっていくのか、という問題になります。
 制作現場がどんどんアジアに移っていく、となると、「日本アニメは空洞化していく」という結論になりますが、それを空洞化というのは間違いではないか、というのが僕の考えなんですよ。

 つまりアジア全域が、それぞれに役割を担って、1本の作品を作る時代が来た、と考えればいいのではないか。だから、日本の若者で自分は現場で絵を描きたいというのであれば、タイやマレーシアなどのスタジオの門を叩けばいいわけです。
 実際、僕のところにもアジアから、これまでの日本での映画作りのノウハウを教えて欲しい、という要望が来ています。そうした日本の持つ経験知のようなものには、全アジア的にニーズがあるのだと思います。確かに日本は年を取った国ですが、逆に言えば、若者にない経験と知恵がある。


スパイダーマンのようなアメコミ由来のアニメを作っているうちは、ジブリも無視できたが…
ディズニーが総力あげて仕掛ける「ベイマックス」となると、これは貿易戦争という側面があるのでしょうね。

でも、なぜこうも敵愾心がわくのか?・・・
「ジャパニメーション」はなぜ敗れるかを再読して考えてみたい。

この記事もスタジオジブリあれこれに収めておくものとします。


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