吉岡桂子記者の渾身記事3

<吉岡桂子記者の渾身記事3>
朝日のコラム「波聞風問」にチャイナウォッチャーとも言える吉岡桂子記者の記事を見かけたので紹介します。
吉岡

疑心暗鬼からナショナリズムという陥穽にはまるそうで、抜け出すには隣人に対する好奇心だそうですね。

9/07北京に日本の著作 日中の壁、乗り越える好奇心より
 北京の書店に、日本の翻訳本がまた増えている。政府どうしの関係の悪化に反比例するかのようだ。

 蛍光グリーンの表紙がモダンな「我是猫(吾輩は猫である)」(夏目漱石)。韓国ドラマにもなった「寂寞(せきばく)東京塔(東京タワー)」(江國香織)。人生信条をつづる「100個基本(100の基本)」(松浦弥太郎)……。

 繁華街のしゃれた書店をのぞくと、文学から実用書までさまざまな日本発の本が並ぶ。大学街の書店でも7月のベストセラー20に、村上春樹さんと小澤征爾さんの対談本や、東野圭吾さんの作品がランク入りしていた。

 「おつきさまの本、読んで」。女の子が父親にせがんでいる。中秋を控えて月を特集するポプラ社の絵本専門店は週末、家族連れでにぎわっていた。同社は地元出版社とくんで300を超える日本の絵本の中国語版を出した。

 一人っ子への教育熱を背景に児童書は、毎年1割以上も膨らむ成長市場だ。また、生活を楽しむ余裕をもつ人たちはダイエットや旅行、美容、ファッション、写真など趣味の情報を求める。根強い人気の村上さんらの小説に限らず、実用書の需要も高まる。

 海賊版だらけで商売にならなかった時代から、著作権への意識も少しずつ変わっている。巨大市場をつかもうと、8月末のブックショーにあわせて講談社、小学館、マガジンハウスの社長も北京を訪れ、中国側と意見交換した。

 中国国家版権局によると、書籍の版権の輸入数は輸出の2倍。日中間ではその差は5倍ある。中国政府は中国語本の翻訳に「補助金」をつけて輸出を後押しするものの、苦戦している。

 ロングセラー「窓辺的小豆豆(窓ぎわのトットちゃん)」(黒柳徹子)は、正式な訳本が出た2003年以降で710万部が売れた。子供むけの推薦図書でもある。30年がかりで750万部に達した日本を超える日も近い。絵本版も翻訳中だ。

 実は80年代から、独自に訳された「小豆豆」が出回っていた。文化大革命が終わり、外国の文化に多くの中国人が飢えていた。「こんなに自由な発想や学校が日本にあったんだ」。ある50代の女性は、当時の感想を語る。

 幼稚園の男の子をもつ女性(36)はいう。「『100万回生きたねこ』(佐野洋子)には心が動き、片付け本や料理本は役に立った。そういうことと、領土や歴史で日本と意見が違うことは両立する。中国政府の宣伝とは違う日本への好奇心もある」

 いろいろな個性や言葉が自由にぶつかりあいながら育まれる日本のソフトパワーは、中国の人たちの心もひき寄せる。私たちから隣人への好奇心も、忘れずにいたい。


公害の克服ノウハウを伝えることから日中の和解が進展することは、確実なんだけど・・・中国政府は治安対応に追われて、その余裕がないようです。

対中抑止力も必要ではあるが、日本は、北風もさることながら、太陽政策にもっと注力すべきではないか。

8/17公害を伝える 日中は青い空でつながるかより
「工場の煙は赤く、火事かと思うほどだった。シーツを干せばすぐに真っ黒になった。いまも、たんがのどにからんで寝られない晩もある」

 7月中旬、大阪市西淀川区のあおぞら財団の会議室。工場と車の排ガスによる大気汚染で慢性気管支炎を患う永野千代子さん(74)の話を、中国からやって来た若者たち約30人は身を乗りだしてきいていた。日本政府が招いた記者や環境NGOのメンバーである。大半は初めて来日した。

 この地区は、高度成長期から1970年代にかけて「灰色の空のもと昼間からライトをつけて車が走っていた」。PM2.5が覆う今の北京を思わせる話だ。公害病認定患者も累計で7千人を超える。

 患者らは78年から企業と国や阪神高速道路公団(当時)を相手取り、賠償と汚染物質の排出差し止めを求めて提訴し、98年に和解した。財団も和解金をもとに地域の再生をめざしてつくられた。「正義感に満ちた医者や学者、法律家が20年もの公害訴訟を支えた」。中国経済導報の陳陽記者は帰国後、そう伝えた。

 やはり和解金の一部を使ったお年寄りのデイケアセンターも見学し、中国で増え続ける公害の被害者が老いる先を思った。ネットメディアの新浪微公益の余哲記者は「訴訟で青春を費やし白髪になっても、健康への影響が残る」と書いた。

 1週間の滞在中、日本の青い空を実感し、厳密なゴミの分別や衛生的なゴミ処理場に驚いていた彼らだが、日本の公害の歴史の身近さにも、心を動かしていた。

 中国には公害病の認定制度がない。司法の独立や言論の自由も十分ではなく、環境にかかわる法律はあっても実効性は弱い。中国など海外からの視察を受け入れてきた財団の研究員、林美帆さんは「患者さんの言葉は心に響くようだ。日本の経験が、改善のヒントになれば」と話す。

 政府どうしの関係が「最悪」とされるかたわらで、環境や都市化をめぐる交流は静かに続いている。今春には、習近平国家主席がトップを務める改革チームの経済や環境を担当する幹部らも来日し、金属汚染を引き起こした足尾銅山跡(栃木県)などを訪れた。東京と北京、北九州と上海など、自治体どうしの協力もすすむ。

 日本では水俣病(熊本県)など公害の歴史的な資料をもつ15団体が昨年末から、連携ネットワークを広げる。日本人自身の記憶の風化や語り部の高齢化への危機感からだ。

 ならば、海外からの視察受け入れ体制でも手を携え、貴重な経験を中国など新興国にもっと伝えられないか。歴史認識や領土で対立していても、「青い空」をめざして公害の克服に歩む「歴史」は、共有できる物語になる。


ここで以前の日記を引用します。
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<吉岡桂子記者の渾身インタビュー4連発>
中華経済に関する吉岡桂子記者渾身のインタビュー記事を、四つ紹介します。

中国、成長の罠香港大学教授2014.02.26
中国の「不動産バブル」大手不動産会社トップ2014.01.28
中国 国有企業の行方張維迎2013.11.07
中国と影の銀行張維迎2013.8.02

朝日新聞の吉岡記者といえば、チャイナウォッチャーとして個人的に注目しているわけで・・・・
その論調は骨太で、かつ生産的である。
中国経済がらみで好き勝手に吹きまくる経済評論家連中より、よっぽどしっかりしていると思うわけです。

波聞風問一覧に吉岡記者の中国論が載っています。

吉岡桂子記者の渾身記事2

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