安藤さんの都市ゲリラ住居

<安藤さんの都市ゲリラ住居>
都市ゲリラという形容に表れるように、若々しくて反権威的な感じがする安藤さんであるが、これが関西人のど根性やでぇ♪・・・
と、東京嫌いの大使は安藤さんを、いたく評価するのです(笑)

図書館で借りた「住吉の長屋/安藤忠雄」という本のIntroductionの一部を紹介します。

<Introduction>p4より
「住吉の長屋」は富島邸から始まった、安藤忠雄による一連の都市型住宅、いわゆる「都市ゲリラ住居」において、安藤が思考と実践を通してたどり着いたひとつの到達点といえる。
(中略)
 まず、我々は、大阪・京都の下町に伝統的にある木造の棟割長屋、住吉の長屋の場合には三軒長屋の真ん中を切り取って、そこにコンクリートの箱を挿入しようとした、その大胆さに驚く。しかし、もっと驚かされるのが、ダイニングとリヴィングを分断するように、配置された、中央の中庭の存在である。この住吉の長屋は、雑誌発表当時は、建築家や評論家に評判が悪かったらしい。「雨の日は傘を差さなければトイレにも行けないというのは考えられない。設計者の横暴だ」というわけだ。
 (中略)
住吉

 中庭は、外部から完全にプライヴァシーが保たれた空間でありながら、空という無限遠まで開放された、自然光が十分に注ぎ込む空間であると同時に、どの居室から見ても、その広さが2倍以上の広さに感じられるような視覚的効果を生み出す、閉鎖空間におけるパブリックでもある。この住宅に住んでいると、四季の移り変わりや、日の光の強さや色合い、天気の変化を敏感に感じることができ、和歌の世界にも通じるような風流が生活の中に生まれる。あまり語られることはないが、玄関ポーチ上に設けられた縦長の吹き抜けも、自然の変化を住宅の中に取り込みたいという設計者の意思が感じられる。ここは玄関前だというのに、光だけではなく、雨までが落ちてくるのだ。それを確信犯的に計画したのは、それを豊かだと感じる感性を大切にしたかったからだろう。

コンクリート打ち放しの壁に囲まれているが京町屋の中庭が感じられますね。ここに雨が降るようだが・・・自然とつながる空間が開放的であり、この家が気に入っている東さんという人もなかなかの人だと思うのです。


<ファサードの否定>p46~49より
 この「住吉の長屋」には、その後の安藤さんの建築の展開における多くの萌芽が集約されているのではないかとさえ思われるほど、数多くの読み取りが可能です。その中でも特に興味深いことのひとつに「ファサードの否定」ということがあります。
(中略)
 これは、もちろん劣悪化していく都市環境に対して、楽観的にファサードを表出するのではなく、むしろ背を向けることが唯一取りうる方法だとした当時の安藤さんなりの都市への眼差しから発しています。このようなスタンスは、「住吉の長屋」にこそ鮮明に表れています。小さなコンクリートの箱は、外に対しては、ほんの小さな穴としての玄関ポーチしかなく、その中でどんな人が住んでいるのか、どんな生活が展開しているのかを窺い知ることすら拒絶するような、硬く閉じた表情をしています。このファサードが世界的に有名になってしまったことは皮肉なことですが、たしかにファサードは全て捨て去られていると捉えられなくもありません。
 安藤さんの作る空間は、基本的に地下空間が原型的なイメージとしてあり、その地下的な空間を実現する上で、ファサードは時として邪魔なものである、そう捉えた方がよいのではないかと思うのです。
(中略)
 直島の「地中美術館」(2004年)は、「中之島プロジェクト」の具現化と位置づけてもいい作品でしょう。安藤さんは、とうとうすべてが地下に埋まった建築をつくり出した、そんな感慨すら抱く作品です。地上に見える建築は、ただの「穴」です。美術館を巡りながら現れてくるいくつかの中庭が、ただ「穴」として大地に顔を出す、まったくファサードのない建築になっているわけです。その意味で地中美術館は、安藤さんの一連の地下建築の集大成と言ってもいいのではないでしょうか。



【住吉の長屋/安藤忠雄】
安藤

千葉学著、東京書籍、2008年刊

<「BOOK」データベースより>
1970年代から今日まで、常に建築界の第一線を走り続ける安藤忠雄の原点にして、戦後日本の都市型住宅の方向を決定付けた名作「住吉の長屋」。そのすべてを解き明かす。建築家安藤のデビュー作。日本現代住宅史の金字塔となった一軒を徹底分析。

<大使寸評>
安藤忠雄のデビュー作にして原点ともいえる住吉の長屋に絞って述べています。
とにかく、その狭さと、傘をさしてトイレに行く造りが衝撃的ですね(笑)

Amazon住吉の長屋/安藤忠雄


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