クール・ジャパンのお寒い現実

<クール・ジャパンのお寒い現実>
NHKの番組なんかでも頻発するし、大使のナショナリズムもくすぐっていたクール・ジャパンであるが・・・・現状はそんなに甘くないようです。
ニューズウィーク6/13号にクール・ジャパンのお寒い現実が載っていたので、抜粋して紹介します。

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<クール・ジャパンのお寒い現実>p51~53
 アーティストの村上隆は今年1月、ツイッターに書いた。
「村上に『クール・ジャパン』関連のイベントへの参加、インタヴュー、諸々のオファーはしないでください。村上は『クール・ジャパン』とは一切関係がありません」
 世界的にも有名な日本人アーティストが「クール・ジャパン」と結び付けられることを公然と拒んだとなると、ただごとでない。日本のソフトパワー戦略「クール・ジャパン」が壁にぶつかっているのは間違いない。

 クール・ジャパンの始まりは、02年にジャーナリストのダグラス・マグレイがフォーリン・ポリシー誌に書いた記事だった。
 確かに当時、日本文化は国外で絶好調だった。01年には、ロサンゼルス現代美術館で、村上隆が漫画に触発されて始めた芸術運動「スーパーフラット」の展覧会が開かれた。
 02年には、宮崎駿の『』がアニメ作品として初めてベルリン国際映画祭の金熊賞を受賞。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学がクール・ジャパンの共同研究プログラムを立ち上げた。ハローキティとポケモンは地球上の至る所で見られた。

―文化産業もガラパゴス化―
 北米でのマンガの売上高は、07年を頂点に減り続けている。マンガをスキャンし、せりふを自国語に翻訳して、本来の権利者に断りなしに無料配布する行為「スキャンレーション」が横行し始めたためだ。
 日本のマンガの人気自体はそれほどの衰えは見られないが、海賊版が出回っていては売り上げは確保されず人材も育たない。
 アニメも同じだ。日本の若いアニメーターは年収100万円程度の薄給で長時間労働を続け、燃え尽きるケースが多い。日本は美術館やコンサートホールといった施設にはカネをつぎ込むが、クリエーティブ産業の人的資源には投資を怠ってきた。
 最近はマンガやアニメの制作がアジアの低賃金な国々にアウトソーシングされることが増え、業界が危機に瀕しているとの声が聞かれる。
 強い輸出競争力を誇っていたはずのゲーム産業も、勢いに陰りが見え始めた。10年前には、世界の歴代人気コンピューターゲームの上位100作品のうち93作を日本のゲームが占めていたが、今では見る影もない。

―K-POP勢に押され―
 対照的なのが韓国だ。韓国政府はポップカルチャー産業に莫大な資金を投じ、国外市場の獲得を目指してきた。12年に日本政府が文化芸術分野につぎ込む予算は予算全体のわずか0.12%なのに対し、韓国は毎年0.8~0.9%を投じている。
 その結果、アジアの多くの国の音楽シーンでJ-POPは韓国のK-POPに逆転されてしまった。
 マーケティング戦略として見ても、クール・ジャパンは問題だ。「創造性はマーケティングによっては生まれない」と、明示大学の「クールジャパン・プログラム」の責任者を務める北脇学講師は言う。「経産省は大企業にキャンペーンを依頼した。これで、クール・ジャパンは企業の金儲けの手段になってしまった」
 そもそも外国人がそう呼ぶならまだしも、日本人自身が自国を「クール」と呼ぶのはかなり情けない。クール・ジャパンの語源ともいわれ、経産省がよく引き合いに出すイギリスの国家イメージ戦略「クール・ブリタニア」は、97年に誕生したブレア政権で大きく打ち出された。だが早くも翌年のエコノミスト誌でこう断じられた。「皆そのキャッチフレーズにもうんざりしている」

―由紀さおりに見る潜在力―
 J-POPはK-POPに負けてはいるが、日本のエンタメ産業は幅が広く、さまざまな分野で成功を収める潜在力がある。ベテラン歌手の由紀さおりのアルバムが昨年末、アメリカとカナダのチャートで1位となったのがいい例だ。

 日本のクリエーティブ産業の輸出規模は約2兆円。この額を20年までに8兆~11兆円に拡大しようと輸出振興策を推進しているが、お役所仕事が足を引っ張っている。誰も読まないパンフレットをせっせと作るより、漫画家が外国語のサイトを作成できるよう後押しするなど実質的な支援に注力すべきだろう。

 日本の現代カルチャーといえば、アイドルとオタクとコスプレという固定観念を持たれがちだ。こうしたイメージを払拭するためにも、政府は漫画家やアニメーターだけでなく、ミュージシャンや料理人、デザイナーや建築家が国外で活躍できるような支援にもっと力を入れるべきだろう。

 腰の重い政府も、この点では正しい方向へ踏み出している。経産省のクリエイティブ産業課は発足直後の取り組みの1つとして昨年10月、シンガポールの百貨店で期間限定ショップ「原宿ストリートスタイル」をオープン。15のアパレルブランドが進出した。

やはり、諸悪の根源は、不作為や怠惰でも首にならない日本のお役人のおつむにあるようですね。そのあたりについては、村上隆さんが10年くらい前から、口を酸っぱく言っていたけど・・・・役人と創造的アートとは相性悪すぎなのかも。


【息切れクールジャパン:ニューズウィーク6/13号】
クール
週刊誌、阪急コミュニケーションズ、2012年刊

<内容紹介>より
Cover Story:息切れクールジャパン
日本を世界に売り込むソフトパワー戦略が失速中──
競争力低下とマンネリ気味の戦略で文化大国の夢は終わる?
・クール・ジャパンのお寒い現実
・日本のドラマのパクリ文化を憂う
・カワイイだけじゃ生き残れない

<大使寸評>
やはり、諸悪の根源は、不作為や怠惰でも首にならない日本のお役人のおつむにあるようですね。
ジャパン・ポップの雄ともいえる村上隆さんがクール・ジャパンとは一切関係ないと公言してたそうです(笑)

Amazon息切れクールジャパン:ニューズウィーク6/13号


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