ゴダールの「中国女」

 大学図書館のDVD棚で何を選ぶか迷ったが・・・・
かなり古い映画だけど、中国で共産党大会が始まったことだし、ゴダールの「中国女」を選んだわけです。

中国1

 この映画では、文化大革命(1966~1977年)のポスターが背景として映っています。
文化大革命 (Revolution culuturelle)や紅衛兵と言えば、今では本家の中国でも否定されている歴史的な間違いであるが、当時のフランスでも、また日本でも、左派文化人からは評価されていたわけで・・・・
愚かなるイデオロギーの時代でもあったわけです。

 ゴダール作品の特徴でもあるが・・・絵画のコラージュのように、カットがちょん切れて、次のカットがこちらの想定を超えて繋がるわけですね。
更にこの映画では、毛沢東の教条的なセリフまで出てくるので、消化不良というか食あたりを起こしそうになるわけです。
でも、深く理解することをあきらめて感覚的に眺める分には、色彩もきれいだし・・・現代絵画のように楽しめるわけですね♪
(大使は、途中で一部寝ていたけど、数カット見なくても大勢に影響しません)

哲学科の女学生ヴェロニク(ヒロイン)と大学教授が列車のなかで論争を繰り広げるが、この映画のなかで唯一、論理だった真面目な(何を真面目とするか、異論も出るだろうけど)対話となっていて印象深いのです。
要するに、教授がテロリズムを否定して「テロの後に何を目指すのだ?」と諭すわけですが・・・
この対話では納得したそぶりを見せなかったヴェロニクである。
例えは適切でないかも知れないが、生活体験が未熟な永田洋子の考え違いを、教授が懇々と諭しているようなシーンであった。
(goo映画解説によれば、この教授は有名な活動家であり、特別出演であったようです)

でも、季節が変わるように、憑き物が落ちるように・・・
ヴェロニクが闘争あるいは政治から遠ざかる兆しを見せて、映画は終わるのです。


【中国女】
中国2ジャン・リュック・ゴダール監督、1967年制作、H24.11.8観賞

<goo映画解説>より
ジャン・リュック・ゴダール14本目の長編。むろん彼自身の脚本・監督で、紅衛兵と文化大革命を67年のパリを舞台に描いたもので、映画を武器にした政治参加の作品といわれている。撮影はヌーベル・バーグ一派の名手ラウール・クタール、音楽はクロード・シャンヌ、編集はアニエス・ギュモの担当である。出演はゴダールと結婚した新進女優アンヌ・ヴィアゼムスキー、「夜霧の恋人たち」のジャン・ピエール・レオーらの他にソルボンヌ大学の哲学教授であり、アルジェリア戦線からの脱走兵をかくまった〈ジャンソン機関〉の結成者フランシス・ジャンソンが特別出演している。

<大使寸評>
今見ても、色彩がきれいで・・・・
そして、文化大革命に疑問を呈するという政治的メッセージが感じられる映画でした。

goo映画中国女


 この映画が制作された67年頃と言えば、マルクス・レーニン主義が、政治的イデオロギーとして健在していました。
若者が熱くイデオロギーに染まっていた時代でもあり・・・・ノンポリの大使であっても心騒ぐものがあったのです(アホやで)
ジョンソンのベトナム空爆が終わった頃で、1989年のベルリンの壁崩壊のはるか以前であれば、こんな観念的な頭でっかちな空論も有りなんでしょうね。

 カット、カットで切りまくるゴダールであったが・・・・
空論の馬鹿らしさを茶化すところに、ゴダールの先見的な批評眼があったとも言えるのではないでしょうか。

ゴダール作品をよく観た大使であるが、一推しを選ぶとしたら・・・何といっても「気狂いピエロ」となります♪
「みつかった!何が?永遠が!海に融けこむ太陽が!」

ピエロ


wikipediaジャン・リュック・ゴダールより
 ジャン=ポール・ベルモンドの爆死をクライマックスとする『気狂いピエロ』の大ヒット以降、パリ五月革命に向かって騒然とし始めた世相を背景に、ゴダールの作品は政治的な色合いを強めていく。『小さな兵隊』がアルジェリア戦争を揶揄してのものであったことからもわかる通り、ゴダールは初期のころから政治に対する志向が強く、政治的なテーマや題材をあまり取り上げることがなかった他のヌーヴェルヴァーグの作家たちとはこの点においては一線を画していた。

 パリ五月革命の予言もしくは先取りであるなどと言われる、マオイズムをテーマとして取り上げた『中国女』(1967年)において既に政治的な表現の傾向が顕著になっていたが、ゴダールを本当の「政治の時代」へと踏み入らせる直接のきっかけとなったのは1968年の第21回カンヌ国際映画祭における「カンヌ国際映画祭粉砕事件」だった。コンテストの必要性の有無を巡る論争を契機として発生したこの事件においては、トリュフォーとルイ・マルとが最も戦闘的な論陣を張り、ゴダールの関与は必ずしも積極的なものではなかった。

 しかし、この事件をきっかけとしてゴダールの周囲や各々の政治的な立場・主張に亀裂が入り、作家同士が蜜月関係にあったヌーヴェルヴァーグ時代も事実上の終わりを告げるに至った。プライベートにおいても女優アンナ・カリーナと1965年に破局が決定的になり、『中国女』への出演を機に1967年にアンヌ・ヴィアゼムスキーがゴダールの新たなるパートナーとなった。この後『ウイークエンド』(1967年)を最後に商業映画との決別を宣言し『勝手に逃げろ/人生』(1979年)で商業映画に復帰するまで、政治的メッセージ発信の媒体としての作品制作を行うようになる。

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