中韓の追い上げに晒される環境エネルギー技術

<中韓の追い上げに晒される環境エネルギー技術>

ネットでは玉石混交、奇想天外とさえ映る環境エネルギー情報が飛び交い・・・・
これではあかん!しっかりした情報で頭の整理をしたいと思ったので、図書館で関連図書を借りたのです。
・日本は世界一の環境エネルギー大国
・天下分け目の日韓電池戦争:WHEDGE5月号



【日本は世界一の環境エネルギー大国】
エネルギー
平沼光著、 講談社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
風力、宇宙エネルギー、地熱、メタンハイドレート―実は日本は再生可能エネルギーのデパート。世界有数の資源と技術で再び高度成長が来る。

<大使寸評>
百花繚乱のような環境エネルギー関連本であるが、「もったいない」感性にも着目した内容が好ましいのです。

Amazon日本は世界一の環境エネルギー大国


この本のエッセンスを紹介します。

<蓄電池で世界をリードする日本>p130~132
 レアアースを使ったモーターのほか、日本は蓄電池の分野でも、その優れた技術で世界に多大なる影響を与えている。再生可能エネルギー普及の課題として、太陽光や風力など、お天気任せという発電をどのように安定したものにするかという課題がある。
 そこで、太陽光や風力で発電した電気を一度電池に溜めて、そこから安定的に供給するという方法が主流になりつつあるわけだが、ここで活躍するのが日本のリチウムイオン電池をはじめとする蓄電池技術だ。

 日本で大量に生産されるリチウムイオン電池の世界シェアは、2008年の時点で何と48%を達成しており、完全に抜きんでていることがわかる。しかも、リチウムイオン電池本体のみならず、その構成品となる「セパレーター」でも、日本企業が世界シェアのおよそ50%を占めている。リチウムイオン電池に関していえば、日本は世界市場を完全にリードしているといっても過言ではないのである。
 ちなみに、リチウムイオン電池は、リチウム、コバルトなどの酸化物材料を使用した正極と、炭素材料を使った負極、さらにその間に充填された電解液の三つの要素で成り立っている。電池のなかのリチウムイオンが正極と負極の間を行き来することで、充電と放電を繰り返す。これが、リチウムイオン電池が生み出すパワーの仕組みだ。
 またセパレーターとは、その正極と負極の間を往来するリチウムイオンの移動を妨げずに両極を分離し、イオンの接触によるショートを防止する重要な構成品なのである。したがって、セパレーターの開発技術においてもトップを走る日本が、リチウムイオン電池の世界マーケットのほぼ半分を占めることができるのは、当然といえば当然だろう。
 
 リチウムイオン電池は、次世代自動車にも搭載されるエネルギー源として今後、大いに注目され活用されていく存在だ。しかも、技術の発達でさらなる大型化が進めば、太陽光、風力などの再生可能エネルギーを蓄電するための定置型大容量電池として、ますます普及していくだろう。
 リチウムイオン電池以外にも、環境エネルギー技術に利用される蓄電池として期待される存在はまだある。主に、ニッケル水素電池、ナトリウム硫黄電池などだ。
 これらは、従来の鉛電池やニッケルカドミウム電池に比べ、エネルギー密度、放電出力時間、耐用寿命においてはるかに優れている。ゆえに、再生可能エネルギーの蓄電や省エネ高効率機器に使用する蓄電池には最適の存在といえるだろう。
 実際、大型ニッケル水素電池を用いたハイブリッド自動車についてお、日本車は世界シェアの約94%を占有、ほぼ独占である。日本はこの分野でも独走態勢を築いており、さらなる市場拡大と発展に期待したいところである。


<世界一クリーンな石炭火力発電>p149~150
 石炭火力発電の分野でも、日本のイノベーションは進んでいる。
 2011年5月下旬、インドネシア国営電力会社PNLは、ジャワ島中部に建設する100万キロワット級のセントラルジャワ石炭火力発電所の国際入札で、Jパワー(電源開発)と伊藤忠商事の企業グループが審査を通過したことを公表。その後、2011年10月には、インドネシアとの間で石炭火力発電所の建設と長期売電の契約が締結された。
 セントラルジャワ石炭火力発電所は、石炭火力発電のなかでもエネルギー効率の高い高効率設備を対象とした独立発電事業者(IPP)の案件。そこでJパワーと伊藤忠商事の企業グループは、「超々臨界圧」と呼ばれる極めてエネルギー効率の高い技術による石炭火力発電プラントを提案している。

 石炭火力発電所は、石炭を燃やして、ボイラーで発生させる蒸気を高温高圧にするほど効率が高くなる。超々臨界圧方式は、600度クラスの高温、25メガパスカル級の高圧蒸気で発電を行うもので、2009年7月に稼動を始めたJパワーの磯子火力発電所(横浜市)の新2号機は、世界最高水準の43%という熱効率を達成、イギリスのBBC放送から「世界一クリーンな石炭火力」と賞賛された。
 またCO2削減という点においても、日本の「超々臨界圧」石炭火力発電は大いに期待ができる。たとえば、中国とインドでは、発電量全体のうち石炭火力がそれぞれ81%と68%を占め、アメリカでもその比率は49%に達している。仮に、高性能な日本の「超々臨界圧」石炭火力発電をCO2排出量の多いアメリカ、中国、インドの石炭火力全体に適用した場合には、3カ国合計で年間約13億トンという、世界全体の排出量の約5%ものCO2削減効果があるといわれる。これは、日本のCO2総排出量に相当する。

 日本の「超々臨界圧」の石炭火力発電所の技術は、他国のものと比べ、その燃焼性と耐久性などが極めて優れていいることから、日本の先端環境エネルギー技術としても競争力のあるものとされている。インドネシアからの「超々臨界」石炭火力発電の受注などをきっかけに、日本の高度な石炭火力発電技術を利用したエネルギーインフラの海外輸出が促進されることが期待されているのだ。
 日本の「超々臨界圧」の石炭火力発電プラントは、日本の「もったいない」という感性を前面に出し、石炭の燃焼力を余すところなく最大限活用し、高効率な発電を実現するもの。しかも、CO2の削減も可能にするのだ。



<排熱でエネルギーの八割が賄える>p151~154
 先述した天然ガスコンバインドサイクルは、発電過程で排出される熱を利用したものだが、こうした排熱は発電所からだけではなく、工場や地下鉄、地下街、変電所や、地中送電線などからも得ることができる。
 排熱と聞くと、所詮は捨てられる運命のもの、たいしたものではないと考えがちだが、侮ってはいけない。何と全国の工場などの排熱を合計すると、原油換算で1億845万キロリットル、そこから既に利用されている分を差し引いた活用可能量は、9430万キロリットルとなるのだ。
 ちなみに、2007年度の民生部門のエネルギー消費量の83%、活用可能量は73%に相当するのだ。
 これまでわれわれは、石油、天然ガス、ウランなどの資源を海外に求めていたのだが、実は日本の国内で捨てられている排熱は、海外の資源同様、十分注目に値する量があるのだ。
 こうした排熱は、「ヒートポンプ」という技術で活用することができる。ヒートポンプとは、「熱を汲み上げる」という意味。この仕組みでは、気体に圧力がかかると温度が上がり、圧力を緩めると温度が下がるという原理(ボイル・シャルルの法則)を利用している。ヒートポンプを利用した身近なものでは、エアコンや冷蔵庫の冷却システム、また最近では「エコキュート」の商品名で知られる「ヒートポンプ給湯器」などがある。
 なかなかその原理が理解しづらいヒートポンプではあるが、エアコンの冷房を例に、ヒートポンプの原理を簡単に説明してみよう。
 まずエアコンの室外機にある圧縮機で、冷媒と呼ばれる代替フロンなど非常に蒸発しやすい液体を圧縮し、高温高圧の気体を作る。この気体を室外機にある熱交換器により室外の空気で冷やし、再び液体に凝縮する。その際に、凝縮熱という熱が放出される。冷媒が気体から液体に凝縮する原理は、冷たい飲み物を入れたコップを置いておくと、コップの周りの空気が冷やされて水滴になる現象と同じだと理解すればよいだろう。
 ヒートポンプは、電気を熱エネルギーに返還するのではなく、熱を移動させる動力源として用いるため、消費電力の約3倍以上の熱エネルギーを利用することができるほか、CO2などの温室効果ガスも排出しない、高効率で環境負荷が低いシステムである。
 こうしたヒートポンプでも日本は高い技術力を持っており、特に日本製エアコンの性能は世界から高い評価を受けているのだ。
 活用可能な日本の排熱量は、先述のとおり年間の民生部門の年間の民生部門のエネルギー消費量の73%に相当するほどの量。つまりは、日本人の「もったいない」という感性が活かされる場面は、まだまだ残っているということだ。それは、まさに宝の山なのである。
 日本には実物資源があるばかりではない。それを消費するという点においても、無限無形の資源を有している。それは、日本人の優れた「感性」と「英知」。それらを掛け合わせることで、資源を無駄なく最大限に活用することができるのだ。

中国がレアアースの売り惜しみを始めたのが、決定的であったが・・・・
リタイアした後に物思う時間が増えたのか、ますますテクノナショナリズムが高じている大使なんです(笑)

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ここで、WHEDGE5月号から特集【天下分け目の日韓電池戦争】を紹介します。
アップデイトな雑誌記事は、新書と違って、能天気に我が世の春をうたっているわけではないですね。


【天下分け目の日韓電池戦争:WHEDGE5月号】
電池
雑誌、 ウェッジ、2012年刊

<内容紹介>より
日本生まれのリチウムイオン二次電池(LiB)。電気自動車、プラグインハイブリッド車、家庭用蓄電池……、 これから中大型のLiB需要は爆発的に拡大することが予想される。携帯電話向けなど小型LiBはサムスン、LGに抜かれた。半導体、液晶と、韓国勢に追い抜かれた歴史は繰り返されるのか。最後の砦ともいえる中大型LiBを日本勢はどう守るのか?

<大使寸評>
日本企業にとって、耳に痛い内容となっているが・・・これくらいの危機感は必用なんだろう。

wedge天下分け目の日韓電池戦争:WHEDGE5月号


特集記事のエッセンスを紹介します。

<ジャパンディスプレイになる前に>p28~29
 ソニー、東芝、日立の3社の中小型液晶事業を統合して誕生したジャパンディスプレイ。有機ELの量産も検討するなど、打倒サムスンが期待される。が、出遅れ感があるのは否めない。経営破綻したエルピーダメモリもそうだが、追い詰められた後の「技術力を結集」は未来を描くのが難しい。
 車搭載、定置用の中大型LiBは幸いなことに、今なら技術的にも数量的にも優位に立っている。大同団結するなら早いほうがいいのではないか。三洋電機がパナソニックの傘下に入ったが、ソニー、NEC、東芝、日立、GSユアサとまだ6社ある。
 今回の取材で、「大同団結は非現実的なのか?やるなら早いほうがいいのでは」と聞いて回ったが、完全否定する関係者はいなかった。もちろん、「誰が主導するのか?」「やはりこういう話は経産省に」と、現実的な手続きの困難さを挙げる人は多かったが。
 「どの社も、調子のいいうちは自社のなかに囲い込みたくなる」(電機メーカー幹部)。しかし、技術の成熟化が進めば、やはり量がものを言う。量がなければ「技術はあっても、ブジネスでは負ける」ことを繰り返すだけだ。
 ただし、大同団結して巨大電池メーカーを例えば2社作るだけなら、サムスンSDIとLG化学からなる韓国勢と同じこと。どうせやるなら、日本勢なりの付加価値をつけたいところだ。
 取材した技術者たちから出された具体的アイデアを二つ紹介したい。

1.川上と川下の大同団結
 「今の電池メーカーは組立をしているに過ぎない」と話すのは、ある素材メーカーの技術者だ。素材メーカーから素材を買い、装置メーカーから製造装置を買って、組み立てるだけ。ならば、EMS(委託生産)を活用するパソコンや、工場を持たないファブレス形式の半導体にならって、「電池メーカーを捨てる」のだ。
 材料や部品といった川上と、アプリケーションやアフターサービスといった川下の収益性が高く、組立や製造といった川中は儲からないという「スマイルカーブ」の概念に則って、川中を捨て、川上と川下で合同するという考え方である。車載用で言えば、素材メーカー(川上)と、自動車メーカー(川下)で2つのグループを作ればよい。
 約七割という、圧倒的なシェアを誇る日本の素材メーカーが、日本の電池メーカーに抱いている不満は「買い取る量は少なく、価格も買い叩く。韓国勢のほうが量をコミットしてくれるから付き合いやすいし、研究開発も進む」というものだ。電池メーカーを挟まずに、「素材メーカーと自動車メーカーでアライアンスを組み、自動車側が調達量をコミットし、そのかわり研究成果を独占するという形にしたほうが、開発効率が上がる」という。いかにも素材メーカーの視点からアイデアかもしれないが、一考に価するだろう。
 この案の弱点は、自動車メーカーが電池開発に本気でない場合、前提が崩れることだ。トヨタ広報部担当部長の中井氏は、「EVには航続距離、価格、急速充電という三つの難題がある。EVに可能性はあるものの用途は限られ、つなぎはPHVではないか。長い目で見れば燃料電池自動車(FCV)が本命かもしれない」と語る。

2.究極の水平分業
 川下(自動車)側のLiBに対するコミットが得られない場合は、川中の電池メーカーを活かした大同団結を模索することになろう。自動車メーカー、電池メーカー、素材メーカー、一気通貫の垂直統合、と発想してしまいそうになるが、この場合、中心となる川中の電池メーカーの収益性の低さをどうカバーするかが問題となる。2グループへの寡占程度では、韓国2社の収益性を上回らないかもしれない。
 ある電池メーカーの技術者が提案するのが、素材メーカーも電池メーカーも、「水平分業、単品で深堀りして勝負し徹底的に収益性を追求する」というアイデアだ。巨大電池メーカーに垂直統合するのとは逆で、得意分野のレイヤーごとに水平分業する発想だ。
 電池メーカーは大きく2社に統合するものの、強みのある一部門と研究開発部門を残す一方で、それ以外の部門は積極的に分社化する。レイヤーごとに各企業が競争すればコスト競争力がつくし、単品で勝負することで少ない投資額でより大きなスケールメリットを得ることもできる。
 具体的なレイヤーとしては、例えば、電極ではマンガン系、三元素、鉄オリビン系の三つ。組立てはワインダー(巻く)タイプと積層タイプの二つ。電解液もワインダーで塗布するタイプと、積層の後で入れるタイプの二つ。最後に注液とコンディショニング工程がある。一つの部材に特化した生産や、どこか1ケ所だけの工程に集中して取り組むのだ。いわば「究極の分業」で日本の特性が生きる“多品種”をデファクトにし、“大量少品種”の韓国勢に対抗するという考え方である。 


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