『日中もし戦わば』

<日中もし戦わば>
中国共産党のガバナンスが利いているかどうか?疑わしい人民解放軍の狂ったような軍拡を見るにつけ、『日中もし戦わば』という本を読み、頭を冷やす必要性を感じるわけです。



【日中もし戦わば】
日中
マイケル・グリーン×張宇燕×春原剛×富阪聰、文春新書、2011年刊

<amazon紹介>より
緊張高まる日中両国だが、実際に戦ったらどうなるのか。日米中を代表する専門家・ジャーナリストが一堂に会し激論を交わした。

<大使寸評>
人民解放軍の暴走を抑えることのできるのは共産党中枢9人のうち2人だけという、薄氷を踏むような文民統制システムが怖いわけで・・・・
その中華のシステムを究明したいわけだけど、日米の専門家にしても不透明さは変わらないようです。

Amazon日中もし戦わば



この本のエッセンスを紹介します。

<米国は巻き込まれたくない>p59~61
春原:そこで、中国と日本の軍用機が「撃ち合い」をして、中国の飛行機が落とされたとしましょう。そうすると中国側がとても反発するでしょう。こうした「偶発的紛争」が起きた結果、中国の軍部内でも強硬論が急速に台頭して、「尖閣を中国が実効支配すべきだ」となってしまうことはあり得るのではないでしょうか。具体的には大規模な軍隊を送って上陸作戦を敢行するとか。それに対して、日本の海上保安庁、あるいは自衛隊の現在の状況ではほとんど何もできないかもしれない。この結果、たとえ瞬間的だとしても尖閣諸島は中国が実効支配することになり、そうなれば米国は5条を盾に日本防衛もできなくなります。では、その前段階で米国が本当に日本を助けてくれるのか。

グリーン:張さんは米国の立場が日本の立場を支持しているかのように言っていましたが、それは唯一、「中国が武力を行使した場合」にのみ、真実となります。言い換えれば、中国が尖閣問題を武力をもって解決しようとした場合、米国は間違いなく日本を支援するでしょう。一方で、平和的な交渉なり、協議が行われる場合、米国は出る幕はないのです。 尖閣問題について、米国の政策目標は何でしょう。

張:グリーンさんが言われた後半の部分には私も同意します。平和的な解決という部分ですね。問題なのは、先程言われた「第5条」というものを使って、万が一のときに日本を守るということは、その前提として米国が釣魚島を日本の領土として認めているということであって、決して中国の領土ではないと、ということになる点です。アメリカがこの問題において決して中立的立場ではないということは、この点にあるのです。もし第5条に釣魚島が含まれないのだとしたら、アメリカは中立だということができるでしょうが。

春原:補完すると国際法で言うところの「施政権」を持っているということと、「国土として保有している」ということは違う、ということですね。だから、中国からすると、米国は日本の立場を支持しているというふうにしか見えない、と。しかし、米国はそこには明確に線を引いていて、「日本があくまであの島を管理しているのであって、所有している、とまでは言っていない」と言うのではないでしょうか。

張:国際法とオーナーシップ(領土保有)の点ですが、重要なことは実際、中国の人民のほとんどは米国が完全に日本をサポートしているという印象を抱いていることです。

春原:さきほどグリーンさんが言った「中国が武力を行使したときは、米国は完全に日本をバックアップします」という言い方は、ある意味、米国の「台湾政策」と似ているようにも思えますが・・・・

グリーン:国際法上の観点から言って、ある国が領土を管理下に置いているということと、その国が領土を保有しているということは全く違います。米国の立場は「日本がその領土を管轄下に置いている」ということなのです。米国は誰がどの領土を保有している、といった立場はとりません。そのことは国際法上、とても重要なポイントです。
 ところが、中国、そして日本国内の政治事情では、ある種の人々はそうした違いに目を向けようとしません。中国では「米国は日本の言い分だけを支持している」と言い、日本では「米国は我々の言い分を支持していない」と言うのです。しかし、繰り返しになりますが、国際法の上では「保有している」ことと「実効支配している」ことには大きな違いがあるのです。

尖閣問題では、アメリカの腰が引けていることを日本は織り込んでおく必用があるようですね。


<上海か北京を火の海に?>p93~97
富阪:北朝鮮を中国がコントロールするということについて、西側(日米韓)は中国に期待しすぎていると思います。中国は北朝鮮に自分たちの言うことを聞かせるほどの力は持っていないのです。今回の延坪島の砲撃の時もそうでしたが、中国は一定期間、「」状態に陥っていました。要するに、各国が外相らに連絡を取ろうとしても取れなかった。色々な会談もキャンセルしています。それで1週間近く後になって突如、多国間、6カ国協議の再開ということを言いだして問題解決のイニシアティブを取ろうと前に出てきたわけです。先程、グリーンさんが言っていた米国のEP3事件の際、「江沢民主席と9回も連絡を試みたが、ダメだった」ということとよく似た状態になっていたのです。
 中国と北朝鮮の距離という点では、西側の国には中国のグリップが強いという認識があるのですが、中国国内には中国が北朝鮮の核武装を止められなかったことに対する反発が強いのです。何といっても北朝鮮の核の脅威が中国に向けられない保証はない。それどころか北京を訪れた北朝鮮の若手官僚は、「中国と戦争をすれば負けるかもしれないが、上海か北京を火の海にすれば中国経済は回復不能になるだろう」といった主旨の発言をしたこともあると聞いています。少なくとも中国が北朝鮮の核武装を喜ぶはずはありません。それを中国が止められなかったことこそ中国の限界なのです。

春原:富坂さんの分析を張さんはどう受け止めていますか?

張:今の意見には賛成ですね。中国の北朝鮮に対する影響力ということですが、日本や米国が思うほど大きいものではない。はっきり言って、過大評価です。それが如実に表れているのは北朝鮮の核兵器の開発問題です。中国はずっと核兵器の開発について反対していますが、全く止められていない。異なる国家間で国家利益の完全な合致が見られることは極めて稀です。もちろん中国の北朝鮮に対する影響力が皆無とかほんの僅かという言い方も正確ではない。われわれの経済関係は極めて親密ですから。そのため、中国の学術界における論争というか、意見の対立は非常に激しい。「もし、朝鮮半島で衝突が起きた場合、中国は介入すべきかどうか」という論争もありますが、意見は大きく分かれています。
 これまでの中国の歴史を見ても、ここ百年の歴史で中国と外国との間に起きた大きな衝突というのは、そのほとんど全てが朝鮮半島がらみなのです。一つ目が1894年の日清戦争。そして1950年の朝鮮戦争ですね。このことから言えることは、中国は朝鮮半島問題に対して敏感かつ慎重にならざるを得ないということなのです。

春原:張さんにお聞きしたいのは、さっきグリーンさんが言った「言葉の圧力だけじゃなくて、物質的な圧力」、具体的に言うと食料とエネルギーだと思うのですが、それらを使って圧力をかけてもらえば、もっと有効だろうと日本や米国は思っています。しかし、実際には中国はなかなかやらない。それはなぜかというと、そういうふうに北朝鮮を締め上げてしまうと、北朝鮮の今の体制が崩壊するからではないですか・それは地域の不安定化につながります。朝鮮半島が不安定になって、中国の東北部の朝鮮系中国人が暮らす地域も不安定になることを中国は望んでいない。だから、中国は過剰に北朝鮮に圧力をかけたくないのだ、と我々は思っているわけです。 さきほど「北朝鮮の核を止められない」と言われましたが、実際には中国の「選択」は「核を止めること」ではなくて、「北朝鮮を不安定にしない」ではないでしょうか?
 
張:三つのポイントをあげます。一つ目はまず、人道主義の観点から言って、彼らの生活がいま非常に困窮して苦しい状況にあるということ。もう一つは北朝鮮と中国の長い歴史的な関係もあります。中国は北朝鮮を支援、サポートする関係を長く続けていますから、それを突然、止める、あるいは大幅に減らすということになれば、両国関係の悪化は避けられませんし、周囲の国々の猜疑心を刺激することでしょう。
 最後に「北朝鮮で政治的な動乱が起きた場合、中国にどのような影響があるのか」という議論は中国の学者の間でも盛んに行われています。例えば近い東北三省にどういう影響があるのか。あるいは中国全体にどういう影響が及ぶのか。そういうことが非常に心配されており、討論されているところです。
(中略)
富阪:というよりも中国は朝鮮半島にいかなる大国の力も及ぶことを警戒しているので、現在のパワー・バランスが大きく崩れるかもしれないといった局面では介入せざるを得なくなるということでしょう。それは、ロシアも同じような状況で、北朝鮮はそのことをよく知っていて大国同士をうまく牽制させ合い、操っているのでしょう。

中国の「選択」は「核を止めること」ではなくて、「北朝鮮を不安定にしない」という春原さんの指摘・・・・この指摘が説得力を持っていますね。



<核疑惑施設を空爆>p97~103
(文字数制限のため削除)



<「ノー」と言えない日本>p227~229
(文字数制限のため削除)



<「日本人を人質」という展開>p261~264
(文字数制限のため削除)



<「最悪のシナリオ」とは?>p265~268
(文字数制限のため削除)


1日の文字数制限で一部削除しましたが、全文は左の「遅れてきた帝国主義3」に入れておきます。

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