地図の空白地帯

梅棹忠夫著「モゴール族探検記」を読んだのです。
民族学の若き研究員は、アフガニスタンで隠れて暮らしているモゴール族を探し出す旅を始めた・・・・戦後初とも言える海外長期フィールドワークだったようです。

梅棹が後に「中洋」と名付けた過酷な乾燥地帯で、モンゴルの末裔たちが身を潜めるように暮らしていた。
このモゴール族は、農耕生活で定住していたが・・・・パシュトウーン人に脅かされた生活ですっかり覇気を失い哀れでさえある。当然として、訪問者を歓待するなど期待できなかったようです。

とまあ・・・・
この本を読むと、地図の空白地帯に踏み込んで行くような、高揚感があるんですな~
空白地域
「空白地帯砂漠」・・・・凄い名前の砂漠ですね。

大使も仕事で行ったサウジアラビアで、ちょっとだけ、そんな雰囲気を感じたが・・・・
短期集中の仕事をやっつける必要があるわけで、とてもそんなロマンに浸る心境ではなかったのです。
それだけ、嫌だったサウジも・・・・今となっては思い出に変わったわけです。


モゴール族探検記より
<内容紹介>
13世紀初頭ジンギスカンが樹立したモンゴール帝国の版図は、遠く東欧から南ロシアにまで及んだ。その末裔とおぼしき蒙古族の一部がアフガニスタン奥地のどこかにいる――。この地図にも記録にも残されていない民族を探し求めて、遂にこれをつきとめ、その風習、言語を調査した京大カラコルム・ヒンズークシ探検隊人類学班の貴重な記録。


「中洋」に触発されて・・・・図書館で砂漠が載った本を借りたりしています。


<砂漠、乾燥した領域>トマス・オニールp171~183
 南アルジェリアのタマンラセットの街を出たころ、ジェームズロックと私はもうひとつの砂漠の脅威、砂嵐に遭遇した。砂嵐は明るい昼間を一瞬のうちに、霞に包まれた黄昏に変えてしまう。空気は濁り、すぐ先も見えない。牧童たちは顔にきつく布を巻きつけ、ロバたちは苦しげに鳴きわめく。われわれは閉めきったランドローバーのなかで汗みどろになるか、車の窓をあけて砂塵まじりの熱風に鞭打たれるか、どちらかを選ぶしかなかった。
 砂漠の風には多くの呼び名がある--アルジェリアではシロッコ、エジプトではカムシン、南サハラでは、ハーマッテン、アラビアではシャマル、アメリカ南西部ではフエゴ。 サハラの嵐は大量の物質を上空の大気まで吹き上げるため、アフリカからやってきた砂がマイアミの夕陽を汚し、アルプスの雪を頂いた峰を覆うこともある。ドイツ人ナチュラリストのウーベ・ゲオルゲによると、サハラからは毎日100万メートルトンの砂塵が吹き飛ばされており、これは長さ160キロの列車をすっかり埋めてしまうほどの量だという。

ラクダ1

 長いあいだラクダは胃かこぶに水を蓄えていると考えられてきた。だが実際のところは、デューク大学の生理学者のナット・シュミット-ニールセンによると「人間よりもはるかに脱水状態への耐性が高く、また水分を失うのもはるかに遅い」ということである。シュミット-ニールセン博士はサハラ砂漠へと赴き、ラクダのもつ能力を一年にわたって研究した。そしてヒトコブラクダの成獣が、夏の炎暑のなかで体重の25%以上(つまり100キロ近く)を失ってもほとんど平気でいることを発見した。対照的に人間は、砂漠で体重の12%を失うとひどい脱水症状を呈する。おそらく密度の濃くなった血液がもはや代謝熱を体から放出しきれなくなり、最後は「急激な熱死」に至るだろう。ラクダはこの忌むべき運命を、血液よりも体組織から水分をとりだすことで回避している。
 発汗の割合が小さいことも、ラクダが水分を保てる理由のひとつだ。この動物はかなり高い体温にも耐えられることが、やはりシュミット-ニールセン博士の調べによってわかった。ラクダの体温は33度からどんどん上昇っし、40度まで達するとはじめて汗が流れ落ちはじめる。「体温に関して融通性があるため、ラクダは日中の最も暑い時間帯をのぞいてほとんど汗をかかない。もしも人間が同じ条件下におかれれば、ほぼ太陽が出て沈むまでのあいだ、ずっと汗のかきどおしだろう」
 タマンラセット周辺の砂漠で、小さなラクダのキャラバンに加わったとき、私はこの不恰好な獣の臭さをはじめて知った。
(中略)
 「砂漠の舟」とも呼ばれるこの忍耐強い動物がいなければ、サハラはおそらく自動車が発明されるまで、地図上の空白の場所でありつづけただろう。ともあれラクダは紀元前1,2世紀ごろに、エジプトかスーダンを経由して北アフリカにもちこまれた。そうして以前には人を寄せつけなかった内陸部まで、ラクダのキャラバンが入りこみはじめ、地中海地方と金の豊富なブラックアフリカの諸王国とを結ぶ主要なルートが造られていった。

「大地の贈りもの」松本剛史訳、岩波書店、1992年刊

今夜の月蝕ですが・・・当地域は雲もなく、良く見えています♪

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