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zoom RSS 『わたしたちが孤児だったころ』

<<   作成日時 : 2018/06/14 08:10   >>

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<『わたしたちが孤児だったころ』>
図書館に予約していた『わたしたちが孤児だったころ』という本を、ゲットしたのです。
カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・
ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。



【わたしたちが孤児だったころ】
イシグロ

カズオ・イシグロ著、早川書房、2001年刊

<「BOOK」データベース>より
1900年代初めに謎の失踪を遂げた両親を探し求めて、探偵は混沌と喧騒の街、上海を再訪する。現代イギリス最高峰といわれる作家が失われた過去と記憶をスリリングに描く至高の物語。

<読む前の大使寸評>
カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・
ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。

<図書館予約:(3/25予約、6/10受取)>

rakutenわたしたちが孤児だったころ


この分厚い小説の語り口を、ちょっとだけ見てみましょう。
p12〜13
PART1 1930年7月24日 ロンドン
 その最初の出来事は、わたしの14歳の誕生日のことだ。当時の親友二人、ロバート・ソーントン・ブラウンとラッセル・スタントンが、わたしを村のティー・ルームに連れていってくれ、そこでわたしたちはスコーンとクリーム・ケーキを食べながら楽しんでいた。
 雨の降る土曜の午後、他のテーブルもすべて満席だった。数分おきに雨でびしょ濡れになった村人が店に入ってきては店内を見回し、まるですぐさま席を空けるべきだというような目つきで、わたしたちを見た。しかし、店主のミセス・ジョーダンはいつもわたしたちに対してやさしく、わたしの誕生日であったその日の午後、わたしたちは村の広場を眺められる張り出し窓のわきの選ばれたテーブルを占める当然の権利があるような気がしていた。

 その日なにをしゃべったのか大半は忘れてしまった。しかし、思う存分食べたあと、二人の友人は互いに目配せをし、それからソーントン・ブラウンが肩掛けかばんに手をつっこんで、わたしにプレゼント用の包装をした包みを渡した。

 包みを開けようと手にしたとたんに、わたしはこの包みが紙で何重にも包まれていること、そしてわたしが1枚はがしても、また次の包装紙が出てくるだけなので、そのたびに友人たちが声を出して笑うだろうということがわかった。そしてそれらをすべて開けた最後に、なにか冗談のようなばかばかしいものがみつかるのだと。最後の包みを開けて出てきたものは、古色蒼然とした皮製の箱で、わたしが小さな掛け金をはずしてふたを開けると、そこには拡大鏡が入っていた。

 その拡大鏡は今もこの目の前においてある。あれから何年もたったのに見た目はそれほど変わっていない。あの日の午後にすでにこの拡大鏡はかなり時代を経ていた。当時その事実にわたしが気づいていたこと、そしてこの拡大鏡がひじょうに倍率が高くて、驚くほど重かったこと、それから象牙の柄の片面にだけ文字が下まで彫りこんであったことを覚えている。後になってわかったことだが(その文字を読むためには別の拡大鏡が必用だった)この拡大鏡は1887年にチューリヒで製造されたものだった。

 この贈り物をもらったわたしの最初の反応は異常なまでの興奮だった。あまりに夢中になったために、二人がわたしをからかっておおげさに笑っているのにもわたしはぼんやりとしか気づかなかった。恥ずかしくなってようやく顔を上げたときには、二人とも不安そうに押し黙っていた。そのときソーントン・ブラウンが所在なげに笑いながら、こう言った。

 「きみは探偵になるつもりらしいから、こういうものがいるんじゃないかと思ったんだ」 この時点で、わたしはあわてて機知を取り戻して、おおげさな反応はすべて冗談だったという振りをした。だが、そのときにはすでに二人とも自分たちの当初の目論見がはずれたような気になっていて、そのティー・ルームでの残りの時間、どうしてもそれまでのような居心地のいい雰囲気を取り戻すことはできなかった。


このあと、この小説はミステリー調で続くのでしょうか?
とにかくカズオ・イシグロは、SF調であれ何であれ、どんなジャンルでも書いてしまうオールラウンダーな作家である。

1930年代の上海を舞台にしたミステリーなら・・・期待できそうやでぇ♪

『カズオ・イシグロの世界』2:遡行するイシグロ:平井杏子
『カズオ・イシグロの世界』1:声のなかへ、降りていくと:小池昌代

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