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zoom RSS 『言葉の降る日』1

<<   作成日時 : 2018/01/14 07:52   >>

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<『言葉の降る日』1>
図書館で『言葉の降る日』という本を、手にしたのです。
加藤典洋さんの文章は、教科書だか入試問題にもなっているそうで、それだけ論理的な文章なんだろう。
そういう文章とはどんなだろうというハウツー志向もあって、この本をチョイスしたのです。


【言葉の降る日】
言葉

加藤典洋著、岩波書店、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
静かに言葉は降り積もる。いまはもういない、あの人たちへの思いとともにー。親しくその謦咳に接した吉本隆明、鶴見俊輔だけでなく、太宰治や坂口安吾、井伏鱒二、江藤淳、三島由紀夫など、その実像と思想の核心にふれ、切実なる生と死を彫琢する。在りし日の姿、その息遣いまでもが、聴こえてくる。

<読む前の大使寸評>
加藤典洋さんの文章は、教科書だか入試問題にもなっているそうで、それだけ論理的な文章なんだろう。
そういう文章とはどんなだろうというハウツー志向もあって、この本をチョイスしたのです。

rakuten言葉の降る日



井伏鱒二の歴史観が語れているので、見てみましょう。
p151〜154
<太宰、井伏、坂口> 
 話の後段にいたり、一人が小田原攻めから凱旋したあたりから、秀吉の高麗出兵の話がせり上がってくる。「近頃、豊臣秀吉が高麗国に出兵すると、頼りに吹聴してまわっておるそうな」。「鉄砲を持たないと、攻めるに好都合な弱い人間と思う者がおる。大明国も高麗も鉄砲を持たないので、秀吉は高麗のことを、卵の山をつぶすようなものだと云ったそうな」。

 ついで、天正19年(1591)ともなると、利休切腹の噂が話にのぼる。翌年、朝鮮出兵。やがて、いよいよ談論に苦い戦国の世への慨嘆、秀吉への辛口の批評が交じるようになる。そしてようやく、この作品の心棒ともいうべき恵瓊長老、安国寺恵瓊その人が登場してくる。
 先の井伏の架空要素、弁燃坊の創作が意味深く思われるのは、それが、安国寺恵瓊の身の上をなぞるもののようだからである。

 恵瓊は、安芸武田氏の出。詳細はわからぬながら、滅亡後、武田氏の遺孤として、安国寺に逃れ、僧恵心の弟子となっている。その後、師、恵心を通じ、毛利家の外交僧。やがて秀吉の高松城水攻めにおける毛利方との講和をまとめ、力量を発揮、秀吉に引き立てられ、毛利氏外交僧でありつつ秀吉からも大名として所領を授かるという異例の位置づけを得る。

 『鞆ノ津茶話記』は、むろん井伏の手によってではあるけれども、次のような恵瓊の発言で、朝鮮侵略、秀吉の愚行を深くいさめる。
 慶長4年4月17日、既に前年、秀吉は死に、恵瓊長老は「頭髪を剃っている」。

高麗出陣の兵は、喪を秘して一同帰還することと相成った。前後7年に及ぶ戦争は終わった。思うだに空しい戦いであった。出陣した者はみな疲れ果てて居た。(中略)
 日本軍が引き揚げると、入れ代わりに明軍が進出し、小西行長の残して行った人質を捕虜にして、糧米、馬匹、武器弾薬をば奪い取った。明兵は狼藉を極め、日本兵も狼藉を極め、後は惨憺たるものであったに違いない


 また、 
明史に「関白、東国ヲ侵シテヨリ前後7歳、中朝トハツイニ勝算ナシ」と云ってあるそうだ。明国の財政は高麗援助の費で底を衝いてしまったのだろう。太閤秀吉っが八幡船を出す代わりに、若し明国を援助していたらと我等の思う日が続くのだ

 慶長の役の翌年に明史がこのように記していることは考えられない以上、これら恵瓊の発言は、井伏の言葉と受けとるのがよいだろう。私がこのように乱暴な口をきくのは、この後、再度、お別れの4月25日夜の茶会がもたれた「翌日、朝早く5人の武者を連れて大坂へ向け出発した」と語られる、恵瓊と5人のわが茶会会衆のその後を、一読者である私が重々、知っているからである。「5人」説明は、こう続く。

いずれも恵瓊長老の腹心、有田蔵人介、手島市之進、浦吉勝、柴田入道斎、粟原四郎兵衛の鎧武者五騎で、同時に御屋方様のお気に入りであり、御屋方様の猶子、金吾中納言秀秋公のお気に入りである。以上の五騎を、大坂向島の御屋方様に手渡すことになっておる。即ち、千軍万馬の古つわものを金吾秀秋公に渡し、その軍勢を引立てることになっておる
(中略)

 西軍敗退後、恵瓊は、毛利氏が生き延びるためのスケープゴートとなる。徳川治世下、とりわけ毛利氏を戴く長州藩のもとでは、万人に憎まれ、「悪僧・妖僧と悪罵のかぎりを以て呼ばれ、また愚人と嘲弄」される。

 考えてみれば、この本の主人公たる安国寺恵瓊こそ、死後、悪罵にさらされるすぐれた敗者の最たる者にほかならない。井伏は、宋湛に代え、恵瓊に軸足を移すことで、梟首に終る物語を手にしているのである。


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