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zoom RSS 『移民の宴』4

<<   作成日時 : 2017/08/11 17:20   >>

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<『移民の宴』4>
図書館で『移民の宴』という本を手にしたのです。
なんか以前に借りたような本であるが、中身に見覚えがないので借りたのだが…
帰って調べてみると去年の12月に借りていたのです。

で、この記事を(その4)としています。


【移民の宴】
高野

高野秀行著、講談社、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
突撃、隣の外国人の食卓。日本初の比較“ごはん”文化論的ルポ。
【目次】
成田のタイ寺院ーThailand/イラン人のベリーダンサーーIran/震災下の在日外国人/南三陸町のフィリピン女性ーPhilippines/神楽坂のフランス人ーFrance/中華学校のお弁当ーTaiwan/群馬県館林市のモスクーMuslim/鶴見の沖縄系ブラジル人ーBrazil/西葛西のインド人ーIndia/ロシアン・クリスマスの誘惑ーRussia/朝鮮族中国人の手作りキムチーKorean Chinese/震災直後に生まれたスーダン人の女の子、満1歳のお誕生日会ーSudan 

<読む前の大使寸評>
「比較ごはん文化論的ルポ」という切り口が、いかにも高野秀行やでぇ♪

rakuten移民の宴


東日本大震災関連を、見てみましょう。
p72〜75
<震災パニックに陥ったスーダン人の友人> 
 3月11日に起きた東日本大震災は多くの人の人生を狂わせた。在日外国人の人たちも例外ではない。2011年4月25日現在、外国籍の犠牲者は23人が確認され、行方不明者の数は把握されてもいない。
 直接被害に遭わなかった人も、日本から脱出するか、日本国内でも福島の原子力発電所からなるべく離れた場所に避難するかなど、選択を迫られた。

 私の10年来の友人であるモハメド・オマル・アブディンもその一人だ。アフリカのスーダン出身で、1998年に日本にやってきた。彼は小学生のとき遺伝性の病気で失明し、目が見えないのだが、天才としか言いようのない言語能力と記憶力で、日本語の会話はもちろん読み書きさえ自由自在だ。

 寿司とユーモアをこよなく愛すこの男から電話がかかってきたのは震災二日後のことだった。
 「タカノさん、大変なことになってるね。何をどうしたらいいか訊く人がいなくて困ってるよ」と異常に暗い声でぼそぼそ言う。

 「寮に友だちがいるだろ?」と私は返した。彼は東京外国語大学大学院の博士課程に在籍し、府中市にある同大学の留学生寮に住んでいる。
 「ダメダメ、わけのわかんないガイジンしかいないよ」彼はイライラした口調で答えた。
 「わけのわかんないガイジンはおまえだろう」といつもなら突っ込むところだが、あまりに彼がピリピリしているので言えない。どうやら他の外国人は日本語がさほどできないので、情報は海外のメディアに頼っているらしい。

 このとき海外メディアはすごかった。私もインターネットでBBCやCNNのニュースを毎日見ていたが、石油コンビナートが大炎上し、大津波が町を飲み込み、原子力発電所が爆発するという映像を繰り返し流していた。こんなものを見たら誰だって「ああ、日本はもう終りだ」と思う。

 「タカノさん、原発はどうなの?」アブは詰問調である。
 「それほどシリアスな状況じゃないって政府は発表しているけど…」
 「日本政府は信用できない」アブはきっぱり言った。「水俣病のときだってそうでしょ。大丈夫、大丈夫って言ってて、被害がどんどん拡大していってさ…」

 司馬遼太郎や曽野綾子を愛読するこの男は日本の近現代史にやたら詳しい。こういうときは実に厄介だ。
 「ねえ、ほんとに大丈夫なわけ? あとでやっぱり被爆してたなんてなったらまずいんだよ」

 私はなんだか菅首相か枝野官房長官になった気持ちがした。何しろ、正確な情報も正しい判断を下すための基準もないのである。誰かが大丈夫だというからそれを繰り返すしかない。大丈夫じゃないと言えば、「じゃあ、どうすればいいの?」と訊かれるわけだし、それに対する答えも持ち合わせていない。自然に政府答弁みたいになる。

 「今すぐどうなるってわけじゃないんじゃないか」
 そう言うと、「そんな曖昧な言い方じゃ困るんだよ。こっちなんか、妻の親からガンガン電話がかかってきてるんだよ」。

 アブは去年、故郷であるスーダンの首都ハルツームの従姉妹に紹介された地元の女生と結婚、日本に連れてきていた。そして奥さんは今、妊娠8ヶ月だった。もう飛行機に乗せられないので、帰るに帰れない。奥さんの家族から毎日何度も「大丈夫なのか?」と電話がかかってくる。アブは目が見えないから、身重の奥さんの手を引いて逃げるということもできない。舅や姑からの電話攻勢で不安と恐怖が膨れあがっているのだろう。無理もない。

 「大丈夫かって訊かれて何て答えてるの?」
 「そりゃ、『大丈夫』って言うしかないよ。大丈夫じゃないなんて言ったら大変なことになる」
 ここでも政府答弁か。こうやって、今日本全国のみならず世界各地で政府答弁の連鎖が展開されているのだろう。

 アブは奥さんを連れて「西」へ逃げることも考えているのだが、どこもあてはないという。今は平時でも出産はたいへんだと聞く。早くから病院を確保しておかないとお産の面倒をみてもらえない。こんな時期に妊娠8ヶ月で見知らぬ町に行くことは非常にリスキーだろう。

 「放射能を防ぐ方法を教えてよ」というので、「極力肌を露出しないで、頭から手の先まで布か何かで覆う…、つまりイスラム・スタイルだな」と答えたら、彼は初めて笑った。
 「タリバンみたいな格好ね」
 タリバンとは、バーミヤンの石仏を破壊した、アフガニスタンのいわゆる「原理主義」勢力である。


『移民の宴』1:朝鮮族中国人のキムチ作りp278〜283、日本の住み心地p288〜289
『移民の宴』2:中華学校のお弁当p154〜156
『移民の宴』3:神楽坂のフランス人p129〜139

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