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zoom RSS 『かわいい自分には旅をさせよ』2

<<   作成日時 : 2017/08/03 21:21   >>

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<『かわいい自分には旅をさせよ』2>
図書館で『かわいい自分には旅をさせよ』という本を、手にしたのです。
大使の個人的な浅田ブームの一環として・・・この種のエッセイ集も外せないなあ♪



【かわいい自分には旅をさせよ】
かわいい

浅田次郎著、文藝春秋、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
京都へ、北京へ、パリへ、シチリアへ。世界は哀しいほどに深く、美しい。浅田流・旅の極意から、人生指南まで、心にグッとくる傑作随筆集。

<読む前の大使寸評>
大使の個人的な浅田ブームの一環として・・・この種のエッセイ集も外せないなあ♪

rakutenかわいい自分には旅をさせよ


自衛隊絡みの話を、見てみましょう。
p244〜246
<愚痴> 
 日本ペンクラブ懇親会の席上で、「自衛隊のイラク派遣に反対する声明」を代読した。
 理事会から指名された理由は、私がかつて自衛官であったことと、並はずれて声が大きいことであろう。
 
 もっとも、ともに文筆業者らしからぬこの二つの理由は、実は不可分の関係にある。山野を跋渉して戦う歩兵は、頑健な肉体とともに明瞭な大声を持たねばならない。30年を経た今でも、鍛え上げた歩兵の声は顕在なのである。

 声明文の内容にはまったく異論がなかったので、お役目は喜んで引き受けた。むろん元自衛官としてではなく、日本ペンクラブの理事としてである。
 しかし、その後あちこちから個人的な発言を求められて往生した。どうやら世間は、私が元自衛官であったという事実に興味を持っているらしい。

 すべてノーコメントで通した。会社員や公務員は、退職すれば1個人に戻ることができるのだろうけれど、軍人は退役しても軍人だからである。除隊のときに申し渡された秘匿義務などにこだわっているわけではない。生涯衰えぬ大声のごとくに、かつて兵士であった記憶が、私の肉体から去ることはないのである。
 思うところを口にすれば、それはペンクラブの声明文とはほど遠い、1兵卒の愚痴になることはわかりきっていた。

 かつて帝国軍人は、彼らの憲法ともいえる軍人勅諭によって、政治にかかわることをかたく戒められていた。まことに意外な話だが、軍人は二等兵から大将に至るまで、選挙権も被選挙権も持たなかったのである。将校を育成する幼年学校でも士官学校でも、政治に関する講義はただのひとつも行われてはいなかった。つまり当時における最優秀の頭脳には、政治や外交の常識すら欠落しており、それがやがて国家の致命的欠陥となって悲劇を招いたと言える。

 自衛隊はその過ちを踏まえて、厳格なる文民統制のもとに存在し、機能する。これは近代国家における軍隊の正しいかたちである。
 しかし、政治や外交が無知無力であった場合、あるいは国民の代表たる議会が判断を誤まった場合はどうなるのであろう。物言えぬ兵士たちの不安は、察するに余りある。

 昭和47年であったと思うが、外出時に制服を着用してはならない、という奇妙な命令が出たことがあった。

 学園闘争もたけなわのころであり、自衛隊はいわば世間の鬼っ子であったから、不要な軋轢は避けるべしとの配慮だったのであろう。しかし隊員たちにとっては屈辱であった。軍人が軍服を着てはならぬというわけである。
 筋の通らぬことが嫌いな私は、外出用の服装点検のときにわざわざ制服を着て整列し、当直幹部に議論を吹きかけようとした。だが、叱ることもできぬ将校の顔を見たとたん、怒りは嘆きに変わってしまった。

 夜間大学に通学する隊員が、学生たちに吊るし上げられて袋叩きの目に遭ったのもそのころのことである。初任給は1万5千円という法外な安さで、要するに得なものは何もなかった。親も友人たちも、早く辞めろと言った。そんな職場に魅力のあろうはずはない。それでも私たちが辞めなかったのは、けっしてきれいごとではなく、純粋な使命感があったからだ。こんな汚れ仕事にそうそう替わりはいないと、誰もが思っていた。

この本も浅田次郎の世界R5に収めておきます。

『かわいい自分には旅をさせよ』1:『蒼穹の昴』を旅する

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