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zoom RSS 『林業がつくる日本の森林』2

<<   作成日時 : 2017/03/20 09:48   >>

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<『林業がつくる日本の森林』2>
図書館に予約していた『林業がつくる日本の森林』という本を待つこと約2ヶ月でゲットしたのです。
ドイツやオーストリアでできている森林経営が、なぜ日本では成り立たないのか?…そのあたりを知りたいのです。


【林業がつくる日本の森林】
林業

藤森隆郎著、築地書館、2016年刊

<「BOOK」データベース>より
半世紀にわたって森林生態系と造林の研究に携わってきた著者が、生産林として持続可能で、生物多様性に満ちた美しい日本の森林の姿を描く。日本列島各地で、さまざまな条件のもと取り組まれている森づくりの目指すべき道を示した。

<読む前の大使寸評>
ドイツやオーストリアでできている森林経営が、なぜ日本では成り立たないのか?…そのあたりを知りたいのです。

<図書館予約:(1/08予約、3/11受取)>

rakuten林業がつくる日本の森林


森林国ニッポンの停滞の原因を、見てみましょう。
p39〜42
<林業力低下の理由>
 木材生産量と木材自給率の低下は日本の林業力の低下を意味する。その第一の原因として挙げられるのは木材価格の低下であり、労賃の上昇である。戦後の木材不足から高度経済成長時代までの国内の木材価格水準は非常に高かったが、それ以降は低下し続けてきた。

 一方、高度経済成長に伴い労賃は上昇し、そのためにスギ1m3の生産額で雇用可能な伐出労働者数は、1960年前後の11人に対して、2005年度のそれは0.9人にまで減っている。単純にいうと林業はその最盛期に比べて10倍労働生産性を上げる必要がある。このような社会的状況の変動によって林業経営の方向性はおのずと明らかになる。

 すでに2章で述べたように、国際的な木材価格の水準は長年にわたり大きな変化はなく、世界の国々はその国際価格水準で木材の輸出入を行い、国内の林業の振興を図ってきたのである。だから日本が安い外材に対抗できなかったという言い訳は通じない。

 これは国内の林業と木材産業との連携の弱さ、マーケティング力のなさ、素材と加工材の流通システムと販売体制の弱さなどに起因しているとともに、林業側の技術力の不足、経営者の力不足も大きな原因である。また林業関係者と消費者、一般市民、国民との関係の弱さも大きい。そしてそれをサポートする行政の働きがうまくいっていない。これらについては後で触れていく。

 外材の圧力が始まったのは、1960年代の初めの木材輸入の自由化に起因している。この自由化は外圧によるものではなく、日本が自発的に行ったことである。その後はウルガイラウンドやTPPで関税引き下げに大騒ぎをしているが、1960年代の初めに日本自らが関税を撤廃したのは驚きである。国産材の不足による木材価格の高騰が日本経済の足を引っ張るということからのなりふり構わぬ決断だったようだが、それにより国産材は外材に席巻されるようになったのである。

 第2部6章で触れるが、下刈りやつる切りなどの育林経費の高くつく日本の人工林の材が、広大なアメリカ北西部やシベリアなどの針葉樹天然林の材と競争できるかどうかがまともに検討されなかったのは信じがたいことである。これは日本の国際的視野が乏しかったことを物語っているが、国の経済発展のためには林業ぐらいはどうなってもよいという意識が経済界や政界にあったのかもしれない。

 しかしその後はアメリカやロシアなどでも、資源の保全や自然保護などのために天然林からの丸太輸出には制限がかかったりして、外材の圧力は昔に比べて小さくなっている。だが製材、加工された材の輸入圧はヨーロッパからのものなども加えてなお続いている。
 1985年のプラザ合意以降の円高は、日本の林業を一層苦しめるようになった。ちょうどこの頃から無垢の構造材を表に出す伝統和風建築工法が、それを表に出さない大壁工法に取って代わられたために、国産の無垢の良質材の価格が低下してきて、それがさらに日本の林業を苦しくした。それに追い打ちをかけたのが1995年の阪神・淡路大震災であった。
 戦後の物資不足の時期に建てられた劣悪で古い木造住宅の被害が大きかったことなどが影響して、非木造住宅が増えるとともに、木造に対しては様々な条件が求められるようになり、それに対応できたヨーロッパからの集成材などの製品の輸入量が増加し、それらの影響が重なって、すでに述べたように2002年には木材自給率が18%にまで低下した。

 ここで問題なのは、なぜ日本林業は市場で求められた品質の木材を供給できなかったのか、ということである。しっかりした仕事のなされた日本の伝統的な軸組み工法の木造住宅の評価がおろそかにされ、不利な立場に置かれてきたこともある。それに伴い地域の気候風土に合った地域の材を評価する考えがないがしろにされてきた。

 以上のように日本の林業の低迷の原因を材価の下落や建築様式の変化などや、マーケティング力の低さを中心に述べたが、大事なことはそれに対する適切な対応が林野行政だけでなく、国全体の産業政策、社会政策に欠けていたこと、それはひいては国民全体の意識に問題があるということである。そして、欧米の先進国に比べて、森林国の日本がなぜここまで木材生産量や木材自給率が低下したのかを国民全体で考えなければならないことである。

 森林国である欧米の先進国では、木材の生産量や木材の自給率は、適切な政策、技術の向上、国民の理解などにより、増加ないしは高いレベルを維持している。


日本では、お役所の技官とはどのような訓練、教育を受けるのか見てみましょう。
p143〜146
<今の制度では技術の専門家は育たない>
 林野庁の技官の幹部になる人たちは、一般的に森林管理署、森林管理局、林野庁、他の省庁、都道府県に出向していろいろなポストを2年または3年ぐらいで異動していく。その間、現場の実務にかかわるのは若い間の2年間ぐらいである。したがって林野庁の技官がフォレスターと同じように、日々の仕事を通して林業技術者としての実力を高めていくということは無理である。

 また日本の公務員試験合格者は、そこに至るまでにフォレスター教育のように現場の実務経験を経てはおらず、技術者としての力はスタートからフォレスターには及ばない。

 なぜフォレスターは一つの現場のポストに10年以上勤務する必要があるのか。その理由は、自分の実施した施業の評価が、10年ぐらいは見続けないと分からないからである。自分のやったことが考え通りにいかず失敗することもある。自然を相手にした林業ではそういうことがあるのが普通であり、その失敗を活かすことこそが林業技術の向上の源である。だから失敗を活かしてその成果を見届けるためにも、同じ現場での10年以上の勤務経験が必要で、反復学習と技術の集積期間は10年以上必要なのである。

 日本の総合職や一般職の職員は、現場を離れた後も、特に事情がない限り事務官と同じように役職が上がりながら、定年まで2年または3年で異動していく。これでは時代の流れに沿った内発的な組織の改革はもちろん、より良い運営への対応も鈍いものになってしまう。2,3年でポストが変わるようでは誰も責任を持って改革を成し遂げることはできず、結局は前例踏襲的に仕事を引き継いでいくことになる。

 明治以来官僚制度の中身が基本的に変わることなくきているのは、ポストの任期の短さにも大きな理由があるだろう。なぜ日本の官僚の任期が2年ぐらいなのかは、業者などとの癒着を防ぐためと聞くが、個々の失敗が見えないようにするためではないかとも聞く。失敗を認めようとしないことは、林業技術の向上にとっては致命的である。仕事で評価されるべきなのは失敗を次の仕事にどう活かしたかである。殊に複雑多様な自然環境の中で養われる林業技術にとってはそれが大事である。
(中略)

 第二次大戦後に日本がGHQの占領下に置かれた時に、GHQは林野局長が文官であることはおかしいとして、技官が局長を務めるべきであるとの強い要望を出した。先進国の中で林野局のトップが技官でないのは日本だけだということであった。それにより1946年に初めて技官から局長が誕生し、長年の技官の願いはかなった。しかし日本が独立した後は、林野庁長官は技官と事務官が交互に務める形で今日に至っている。GHQは日本の官僚制度を変えることはなかったので、事務官の力は依然として強く、その結果長官を交互に務めるという形ができたのであろう。

 技官からも長官が出るということになったのは良いことであったが、そのために技官も事務官と同じような人事システムで動くことになり、技官はそのアイデンティティを失っていくことになった。技官も事務官と同じように事務処理、企画、折衝などの能力の高さばかりが求められ、技術者としての力を失ってしまったのである。1960年代ぐらいまでは戦前に技官として育った人たちが、技官としてのプライドを持って働いていたが、それは遠い昔の話になってしまった。

ウーム 著者の歯ぎしりさえ聞えてくるような論調ですね。
輸出立国という方針の影で、日本の林業はおいてけぼりに落ちていたようだが…とにかく林野行政の停滞は目を覆うばかりだったようです。

整合性といえば聞えはいいが…
前例踏襲でもあるわけで、改革とは相容れない習いであることに気づいてほしいものです。

『林業がつくる日本の森林』1

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