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zoom RSS 田園回帰1%戦略

<<   作成日時 : 2015/11/17 09:26   >>

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<田園回帰1%戦略>
 島根県立大学教授・藤山浩さんがインタビューで「定住者を呼び込む“田舎の田舎”こそ人口減を止められる」と説いているので、紹介します。

藤山浩著『田園回帰1%戦略』という本を、かの藻谷浩介さんも「地域再生の分野の書籍の、決定版の中の決定版だ」と絶賛しているとのこと・・・・これは必見でんな♪

藤山
(藤山浩さんへのインタビューを11/17デジタル朝日から転記しました)

 どうすれば急激な人口減少に歯止めをかけ、地方は消滅を避けられるのか。地方創生の大きなテーマだが、なかなか処方箋は見つからない。ところが、「地方再生の決定版」と最近、評判になっている本があるという。その名も「田園回帰1%戦略」。どんな策なのか。島根県で長年、過疎と向き合ってきた著者にきいた。

Q:今年6月に出された本が自治体やまちづくり関係者の間で評判になっています。「里山資本主義」の著書もある日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんも書評の中で「地域再生の分野の書籍の、決定版の中の決定版だ」と絶賛しています。「1%戦略」とは何ですか。
A:毎年、人口の1%にあたる定住者を増やす。例えば人口5千人の村なら、毎年50人の移住者を受け入れることで人口減に歯止めがかかり始め、30年後の時点では総人口と14歳以下の子どもの数は、いずれも少なくとも現在の9割以上を保つことができ、高齢化率も現在より低くなります。だから毎年1%分の人口を取り戻しませんかという戦略です。

Q:1%という数字はどこから出てきたのですか。
A:中山間地域研究センターで独自の『人口分析・予測プログラム』を開発しました。それを使って、島根県内の中山間地域や離島で毎年どれだけ各世代の定住者が増えればいいかを算出したところ、計2920人ですむことが分かったのです。ちょうど地域総人口の1%にあたります。全国の山間地域全体でシミュレーションしてみても、1%でほぼ同じ結果になっています。

 ただ、気をつけてほしいのは単に目標人数を達成すればいいのではなく、実際の移住者に多くみられる20代前半の男女、4歳以下の子どものいる30代前半の夫婦、定年後の60代前半夫婦という三つのパターンを、バランスよく増やすのが大切ということです。

Q:どうして対象が中山間地域や離島なのですか。
A:人口減少や高齢化が最も著しい地域ですが、最近、目立ってきた若者らの地方移住、『田園回帰』で移住先に選ばれているのは、こうした『田舎の田舎』なのです。都会を『卒業』した若者が向かう先は、『ミニ東京』のような地方都市ではなく、田舎の田舎。今後定住者が増え、再生に向かう『どんでん返し』が起きる可能性のある地域だからです。
 地方都市は『1%戦略』の対象にしていませんが、周辺の中山間地域の人口が維持されればおのずと回復します。すそ野の人口が減って、地方都市の人口維持はありえません。
    ■     ■
Q:都会から地方へ。それほどの移住者がいるのでしょうか。田園回帰を過大評価している印象を受けます。
A:実際、島根県の中山間地域にある227地区の人口を5年前と比較すると、4歳以下の子どもの数が増えた地区が3分の1もあります。維持も合わせると4割を超えます。こうした地区では親の世代も増えていて、子連れ家族が移住しているのです。集落調査でも県の中山間地域全体で5年間に約7千人のUターンやIターンがあったことが分かっています。

 島根だけの話ではありません。研究や講演で全国を訪ねますが、長野県や高知県など各地で田園回帰が加速している実感があります。それに今、地方創生のなかで東京一極集中の是正が叫ばれ、政府は都会から地方への新たな人の流れをつくると言っていますが、島根県の中山間地域全体で毎年、必要とされる定住者数は、東京都市圏人口約3500万人の1万分の1未満に過ぎません。

Q:それにしても5千人の村が毎年50人の移住者を呼び込むのはハードルが高くありませんか。
A:村全体で考えると、そう思いがちです。でも、たとえば500人の地区が10あって、地区ごとに考えればどうでしょう。移住者5人なら、子どもが1人いる30代夫婦と60代夫婦をひと組ずつ増やせば目標達成です。だから人口減対策は市町村と、さらに小さな公民館区などの『2階建て』で考える必要があるのです。

 自分たちの地域を守ると住民が考えるとき、思い描くのは市町村単位でなく、一次生活圏である公民館や小学校区単位です。そうした地元に『あと2組で大丈夫だ』と具体的な目標ができることによって、住民は頑張れる。受け入れのための空き家補修などやらなくてはならないペースも見えてきます。

Q:移住者の所得はどう生み出すのですか。
A:毎年、地域人口の1%が新たに定住するためには、地域全体の所得を1%増やせばいいことになります。その分、地域で回る金を増やす必要がありますが、これまで自治体はあまりに『外貨獲得』に重きを置いてきました。御三家が、大工場誘致、観光客誘致、特産品開発です。これを否定はしませんが、こればかりを狙って三振を繰り返してきたのが多くの地方の歴史ではないでしょうか。

Q:では、どうすれば。
A:例えば島根県のある地方都市圏では、住民の総年間所得額1556億円にほぼ匹敵する1420億円のモノやサービスが域外から調達されています。少々、観光や特産品で外貨を稼いだとしても、稼いだ先から域外にお金が流出している。だったら域外から購入していた金額の1%分のモノやサービスを域内で調達すればいいのです。

Q:地域で回るお金が増えるという意味では、総所得の1%分の外貨を稼ぐのと同じ効果があるということですか。
A:そうです。これなら三振はありませんし、どんな地域でもチャレンジできます。5年前に訪ねたイタリアの山村では驚くほど多様な生業が息づいていました。パスタ職人、ワイナリー、建具屋さん、薪屋さん。衣食住やエネルギー一式が地元でそろい、地域の経済を回している。そこまで行かなくても、毎年ほんの一部を地元に取り戻せばいいのです。
    ■     ■
Q:実際に「1%戦略」に基づいて地域再生に取り組んでいる自治体はありますか。
A:島根県邑南(おおなん)町は町の総合戦略に、64人という毎年の定住者の目標を書き込み、12ある公民館単位ごとの活動が始まっています。出羽(いずわ)という地区では住民が合同会社を立ち上げ、新規就農のIターン者をすでに募集しています。このほか岩手県西和賀町、長野県喬木(たかぎ)村、石川県能美市など5市町村も地域再生に『1%戦略』の手法を取り入れています。

Q:いま、地方創生に向け、全国の自治体が、今年度中の人口ビジョンと総合戦略の策定に取り組んでいます。アドバイスはありますか。
A:ただ人口を増やせばいいと考えないことです。人口とは生きている一人ひとりの人生の数です。『こんな田舎、どうしようもない』と地元の人が思っている地域に移住者は来ません。まずは住民自らが地域を磨くことが大切です。移住が増えている地域は、住民と行政がそうした地道な努力を10年くらいやってきたところばかりです。

 日本のこの50年間は過疎と過密の半世紀でした。その結果として、地方の中山間地は人口減にあえいでいる。かたや一気に同世代が入居した都市部の団地は今、一斉に高齢化しています。どちらも長続きしない地域社会になっている。毎年、1%ずつの定住増には意味があって、一気に増やしては駄目です。団地の失敗を繰り返してしまう。じっくりと落ち着いて持続可能な地域を取り戻す。そのための1%なのです。

Q:藤山さんもUターン組ですね。島根県に戻ってからは「田舎の田舎」に家族でお住まいになっています。「1%戦略」はご自身の経験からつむぎ出された面もあるのでしょうか。
A:東京の大学を出て、いったん広島県で働いたあと、38歳の時に島根県に戻りました。地に足がついた、手ざわり感のある暮らしがしたいと田舎暮らしを始めましたが、集落総出の草刈りなど面倒くさいこともたくさんあります。でも、手間ひまかけて自分たちが地域を守り、つくる喜びがある。

 葬式で集落のみんなが集まると『おじいさんはこんな人じゃった』という話になる。個人の記憶が地域で継承されていく。それは尊いことだし、自分もそうされたいと思います。単に人口を増やしたいという田舎の都合だけで『1%戦略』を言っているのではありません。都会とはまた違う、豊かな暮らしがあると思っているからです。

     *
藤山浩:59年、島根県生まれ。98年に島根県中山間地域研究センターに入り、現在は研究統括監。島根県立大学連携大学院教授を兼務。

<取材を終えて>
 藤山さんの「1%戦略」は「地方消滅論」で意気消沈した住民にとって希望の灯だ。ただ、人口の1%にあたる定住者を毎年増やすのは容易ではない。私もそう思っていた。しかし、島根県には移住者を呼び込み、人口が「社会増」に転じたことのある自治体がこの5年間で7市町村にのぼるという。あきらめずに地域を磨けば道は開ける。その可能性を「1%戦略」が示してくれている。(編集委員・神田誠司)


田園回帰1%戦略藤山浩2015.11.17


この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップに収めておきます。

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