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<<   作成日時 : 2015/11/13 09:27   >>

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<試されるアジア経済>
 アジア開発銀行研究所所長・吉野直行さんがインタビューで「中国は、まるで列島改造ブーム、コスト感覚に不安」と説いているので、紹介します。
中国経済に陰りが見える今、大使はおっ取り刀で経済のお勉強です。

吉野
(吉野さんへのインタビューを11/13デジタル朝日から転記しました)


 世界の成長センターともてはやされてきたアジアにも、ついに試練のときがやってきた。牽引役だった中国経済が陰りを見せ始め、米国の利上げ観測の高まりで金融緩和マネーが逆流してしまうリスクが心配されている。アジアは持ちこたえられるのか。各国の当局者と意見交換を重ねているアジア経済のご意見番に聞いた。

Q:金融緩和で世界にお金をばらまいてきた米国が、近く利上げに転じそうです。アジア経済への影響が懸念されていますが。
A:一時的な影響はあるでしょうが、アジアの成長力は本物です。むしろ米国が早めに金融引き締めに転じることに賛成です。先進国の量的緩和でジャブジャブになったお金はアジアに大量に流れ込みましたが、急に逆流すれば大きな問題が生じます。事態がより深刻になる前に、米国も、そして日欧も早めに引き締めたほうがいい。

Q:ただ、好調だったアジア経済はすでに失速ぎみです。とりわけ、世界の成長エンジンだった中国経済の変調が心配です。
A:中国経済に問題はあるが私はあまり悲観していません。何とか切り抜けていくでしょう。輸出が減り、銀行の不良債権や地方財政の問題を抱えているとはいえ中国の国土は広大で人口は多い。とてつもない受け皿がある。海外の経験も一生懸命に学び、官と民が負担を分担して外から見えない方法で問題を処理していく。そんなメカニズムがこの国にはあります。

 上海株式市場の暴落でも国全体が沈んだわけではありません。素人の投資家たちは損をしたが、国家や機関投資家はあまり傷んでいない。輸出減ショックも、内需拡大と新シルクロード経済圏への投資の拡大、それにアフリカ進出で補おうとしています。

Q:中国は、円高とバブル崩壊に苦しんだ日本の轍を踏まないように研究していると言われます。でも結局、バブル生成とその崩壊に至るまで日本とまるで同じ道をたどっているのではないですか。
A:中国当局の幹部たちは日本の失敗を本当によく研究していて、日本の経験をもとに政策を注意深く修正していますよ。たとえば、日本が1985年のプラザ合意で急激な円高を受け入れたことを彼らは失敗だったと分析し、人民元の上昇ペースが急に速まることに慎重です。当時の日本が円高を食い止めようと金融緩和をし過ぎたことも誤りだったとの見解です。そうならない形で国内投資と国内消費を増やす道を探り、海外投資にも力を注ごうとしています。

    ■     ■
Q:中国は道路や鉄道などのインフラ(社会基盤)への過剰投資をこんどはアジアに輸出するつもりです。インドネシアの高速鉄道を破格の条件で受注し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)を創設しました。でも、それほど巨額の投資ができる財政力がアジア各国にあるのでしょうか。
A:アジア開発銀行(ADB)が各国のインフラ需要を積み上げたら10年間で8兆ドル(約980兆円)にのぼりました。これをすべて造ることはできません。

 ADBは実際の融資では一つずつ慎重に審査するはずです。中国主導のAIIBだって気前よくお金をばらまいていたら事業は行き詰まります。ただ、アジア諸国がどこも投資に沸いているのは確かです。日本でいえば田中角栄元首相の列島改造ブームの雰囲気でしょうか。

Q:少し危なっかしいですね。
A:各国政府にコスト感覚がなさすぎるのが心配です。先日も会議で訪ねた南太平洋の島で、政府関係者から港湾建設への協力を熱心にもちかけられました。途上国では、インフラ整備のために海外から民間の投資資金を引っ張ってくる手法がはやっています。

 これに依存し過ぎると危ない。借金で建設するのは簡単だが、いずれ金利をつけて返済しなければならない。安易に借金に走れば、財政は脆弱になります。インフラ造りは目的ではなく、それを利用していかに地元の産業を育て、雇用を生むのかが大事なのです。

Q:とはいえ経済発展にはインフラが欠かせないのも確かです。
A:もちろんです。そのためには投資に使える長期資金を国内で生み出すことが大切です。海外から途上国への投資は、いざというときに逃げ足の速い資金も多い。だから97年のアジア通貨危機が起きたのです。そうしたお金は元をただせば、アジアの国々が出したお金だったりする。

 途上国が米国債を買い、そのお金が米国市場を経由してアジアに還流する構図です。これでは、もうけは米国の投資家に持っていかれ、お金を出したアジア途上国はリスクを負うだけになってしまう。

    ■     ■
Q:途上国側はどうしたら?
A:モデルにすべきなのは日本の郵便局や年金保険の制度です。以前は、国民から集めた貯金や年金積立金を、政府が国内のインフラ整備に投融資していました。そういう資金を集めるには国民が信頼できる貯蓄手段が不可欠です。郵便局を活用すべきです。

Q:郵貯などを原資とする財政投融資制度ですね。日本では十数年前に「負の遺産」扱いされて、改革を重ねてきました。
A:歴史的には日本の発展に欠かせない役割を果たした制度です。日本には預貯金、生命保険、長期信用銀行の債券などいろんな金融商品メニューがあり、多様な資金が集められた。だからこそそれを原資に短・中・長期の需要に応じて国内産業やインフラに大きな資金が投じられたのです。おかげで国内投資を国内貯蓄でまかなえるようになり、日本は海外資金に頼る必要がなくなりました。海外の金融政策に振り回されることなく安定成長を手に入れたのです。

 離島が多いインドネシアでは銀行がない島があり、30%程度の人しか預金口座をもっていません。でも郵便局なら離島にもけっこうある。そこで郵貯のほか、民間の銀行預金や生命保険商品を販売する方法もある。我々の提言を受け入れ、インドやベトナム、中国も郵便局での貯金事業を強化しています。

Q:「東アジア共同体」の夢も最近は語られなくなりました。ADBはアジア共通通貨の元になる「ACU(アキュ)」構想まで唱えていたのに。なぜでしょうか。
A:ユーロの失敗が大きかったのでしょう。同じ欧州でも国ごとに景気は異なります。国によって経済の構造も貿易取引の実情も違う。そこに一つの金融政策で対応せざるをえないユーロ制度には、もともと欠陥がありました。同じ構成比で作る共通通貨を、どの国も共通に運用するのはとても難しい。その構造欠陥がギリシャ債務問題で表面化しました。アジアのACUが抱える課題も同じです。

    ■     ■
Q:中国の人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権の構成通貨に採用される見通しで、ドルやユーロ、ポンド、円と並ぶ主要通貨の仲間入りをしそうです。人民元にそれだけの実力はありますか。
A:中国人がたくさん訪れる隣接国のベトナムやラオスのような国では、人民元はすでに地域決済通貨として利用されています。マレーシア通貨やシンガポール通貨の為替相場は、最近ではドルより人民元に連動している。米国より中国との貿易量のほうが多くなっているからそれも当然です。中国は今や世界最大の貿易国になりました。今後ますます多くの国で決済や外貨準備に使われるでしょう。

Q:すでに国際通貨にふさわしい、と?
A:すべての条件を満たしているわけではありません。当局がいつも為替介入で相場を操作しているようでは計算単位や貯蔵手段として信用できません。それに今も中国の金融市場では資金を自由に動かせない。それでは決済通貨として十分とは言えません。

 中国政府には条件を整えていきたいという意欲はあります。ただ、どのくらい時間をかけてやるかで幹部の意見が割れています。一気にやると国内市場が不安定になる。私は中国当局者に助言を求められた際に、『4年くらいかけて徐々にゴールをめざしたらどうか』と言いました。

Q:日本や東南アジアの国も入ったTPP(環太平洋経済連携協定)交渉が大筋合意しました。こうした貿易ルールに中国を巻き込んでいくことも必要ですね。
A:その通りですが課題もある。自由貿易協定が機能するには、参加国の通貨が市場メカニズムで動くことが必要だからです。もし通貨安を武器に輸出を増やす国があれば、関税撤廃だって意味を失ってしまう。日中韓交渉でもTPPでも、まず中国に為替相場を自由化するよう求め、それができてから自由貿易協定を結ぶべきです。

     *
吉野直行:1950年生まれ。金融財政政策を専門とする経済学者。米ニューヨーク州立大助教授などを経て、慶応大名誉教授。2014年4月から現職。

<取材を終えて>
 経済制度こそがその国の発展の度合いを決める、という学説がある。吉野さんの話はまさにそれを裏付けるようだ。先進国からの投資次第で成長力が決まってしまう従来型経済では、早晩アジアの成長に限界がくる。自ら制度を作って経済を動かせるか。来たるべきショックを乗りきるカギもそこにある。(論説委員・原真人)



試されるアジア経済吉野直行2015.11.13


この記事も 朝日のインタビュー記事スクラップに収めておきます。

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