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zoom RSS 変調する中国経済

<<   作成日時 : 2015/09/30 11:01   >>

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<変調する中国経済>
 中国経済の先行きに不安が高まっている。世界の金融市場が動揺し、激しく乱高下する局面もあった。中国に何が起きているのか。経済で深く結びついた主要国はどう動くべきか。
 吉岡桂子編集委員が二人の中国経済人にインタビューしているので、紹介します。

中国経済
(中国経済人へのインタビューを9/30デジタル朝日から転記しました)


■過剰投資が招いたデフレ 余永定さん(元中国人民銀行通貨政策委員)
 中国経済は現在、デフレ状態です。経済成長のスピードは落ちるし、克服には3〜4年かかるでしょう。短期的にはかなり厳しい情勢です。

 消費者物価はまだプラスですが、企業どうしの取引価格を示す指数(生産者物価指数)は2012年3月から前年同月割れが続いています。リーマン・ショック後の景気対策が過剰な投資を招き、生産力が需要を上回って、価格競争が起きているからです。

 では、どうすべきか。企業の集約を進めて過剰な生産を解消するとともに、成長力のある新しい産業を育てる政策が必要です。とはいえ、前者は雇用問題を伴うし、後者は不確実性が高い。企業の債務が大問題で、悪化の趨勢にあります。銀行の不良債権比率は今のところ高くありませんが、やはり悪化しています。

 中国は、市場の力をより活用する経済へ向けて改革を進めるとともに、デフレを抑えるため、積極財政と金融緩和を続ける必要があります。企業が銀行借り入れに頼らず、証券市場からの資金調達を円滑にできるようにしていく必要もあります。

 しかし、中国の株式市場は正常な機能を失っています。中国政府や官製メディアが、実態とかけ離れたバブルをあおった結果です。そしてバブルがはじけたら、政府は株式を買い支えたり、空売りを制限したり。企業の新規上場も止めてしまいました。パニックが去った今、政府は一刻も早く、こうした「救市」をやめるべきです。

 人民元の相場形成についても、中国政府は人為的な介入をできるだけ控え、市場の調整力に委ねるべきです。その意味では、人民元の対ドル相場を、市場の実勢に近い水準に切り下げた政策は正しい。

 とはいえ、中国人民銀行(中央銀行)はもっと市場関係者やメディアとの意思疎通を強化し、政策の意図を詳しく説明すべきでした。確かに中国の中央銀行は、米国や日本と違って国務院(内閣に相当)の判断が最終決定になるという事情もあります。ですが、中国の経済情勢は複雑で、(中国の経済学者の)私でもよくわからないことがあります。不要な誤解を避けるためには、もっと意思疎通に努力しなければなりません。

 今年下半期の成長率は、上半期より低くなり、7%の目標を実現できないかもしれません。来年はもっと低いでしょう。とはいえ、中国はしばらくの間、6%以上の経済成長は問題なく達成できます。1人当たりの平均所得はまだ低く、成長の余地がある。直面する問題が多いからこそ、潜在力も大きい。改革を推進すれば、「新常態」に向かって軟着陸できるはずです。中国経済の規模が米国を追い抜くのは、時間の問題だと思います。
(聞き手 編集委員・吉岡桂子)
    *
余永定:1948年生まれ。中国社会科学院世界経済・政治研究所長を経て同院学部委員。元中国人民銀行通貨政策委員。

    ◇
■国家が経済を牛耳る限界 茅于軾さん(北京天則経済研究所名誉理事長)
 中国の経済成長は、イノベーション(革新)を起こせるかどうかにかかっています。国家が経済を牛耳るままでは難しいでしょう。国家が抱え込んだ権力を手放していく改革抜きに、このまま発展していくとは考えられません。

 根源的な問題は政治にあります。金融やエネルギーなど主要分野で独占的な地位を占める国有企業改革の遅れに、象徴的にあらわれています。

 中国の国有企業は規模が大きく、数も多い。リーマン・ショック後、中国経済が世界に先んじて高成長を取り戻した時、公共事業などの投資が牽引しました。国有銀行が金融面で支え、鉄鋼などの国有企業が大増産したのです。しかし効率は悪く、資源も浪費する。この成長方式が持続的でないことは、中国共産党・政府自身も気づいています。

 李克強首相も、資金や土地、労働力などの配分に「市場の力をより利用する」と改革の決意を語っていたはずです。しかし国有の2大鉄道車両メーカーを合併させるなど、むしろ大きくしようとしている。国際入札で中国企業に競争力を持たせたいのかもしれませんが、大きな間違いです。内外で競争してこそ、企業は強くなります。

 効率をあげるためにも国有企業の株式を民間に売却して私有化を図るべきですが、進んでいません。土地やお金など肝心な「資源」を動かす権力を、国が握っています。労働力にはまだ市場の力が働いていますが、そこにも共産党員であれば良い待遇を受けられるという「特権」が存在する。腐敗退治で国有企業幹部を捕まえても、共産党が人事権を握り、国有企業じたいが党を支える基盤だと考えられている現状では、本質的な改革は進まないでしょう。

 もうひとつ指摘しておきたいことがあります。言論の自由の範囲が狭くなっていることです。この1年余り、弁護士やNGO関係者、ジャーナリストが大勢拘束されています。経済のルールや人権を守る弁護士らの仕事が命がけになっているのです。これでは法治は進まないし、経済変調を警告する声もつぶされる。

 私が創設した民間の経済研究所には、政府系シンクタンクの研究員は参加してはならない、という圧力もかかりました。異なる意見がぶつかりあう論争を通じてこそ、政策も統治も磨かれるはずです。

 30年余りの改革開放政策で中国は確かに発展しました。年に延べ1億人が旅行を含めて海外へ出かける時代です。景気減速で苦労する中小企業は少なくありませんが、庶民の雇用はまだ安定している。

 新たな成長点は政府が探せるものではありません。今のうちに、イノベーションを生み出す基礎になる、個人や市場の力を発揮できる社会に向けて改革に踏み出すべきです。
(聞き手 編集委員・吉岡桂子)
    *
茅于軾:1929年生まれ。中国社会科学院での経済研究を経て、93年に民間の北京天則経済研究所を設立。


変調する中国経済余永定、茅于軾2015.9.30


この記事も朝日のインタビュー記事スクラップに収めておきます。

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