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zoom RSS 技術者が見る原発事故

<<   作成日時 : 2013/07/16 05:58   >>

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<技術者が見る原発事故>
 名嘉幸照さんがインタビューで「経営効率を優先し業者任せの東電、現場力下がる一方」と説いているので、紹介します。

 沖縄で生まれ、移り住んだ福島を終のすみかとした名嘉幸照さんは原発技術者の草分けだ。東京電力福島第一原発の事故から2年余りたっても廃炉作業、避難民への対応、地域復興は遅々として進まない。にもかかわらず、現政権は原発の再稼働や海外輸出に歩を進める。福島原発に40年関わってきた名嘉さんは訴える。「それでいいのか」

(7/12デジタル朝日から技術者が見る原発事故を転記したけど・・・・・・無料で見せるのが木鐸というものでは?)


Q:事務所の窓から、公園で遊ぶ子どもたちの声が聞こえます。
A:いわき市は比較的、放射線量が少ないからね。この子たちを安全に育てなくてはと思うよ。一方で放射能を逃れ、いまも遠くに避難する子たちを思うと、ほんとに心が痛む。

Q:双葉郡の町村では住民の帰還が進んでいるところもありますが。
A:戻るのはお年寄りばかり。子どもや孫が来ない町に戻っても、生きがいがないという声も出ている。廃炉作業も先は長い。政府のいまの動きは信じられないよ。かつての原子力ムラは壊れたが、早くも第二の原子力ムラができたのですかね。

Q:ただ、名嘉さんも原子力ムラの側にいたわけですよね。
A:そうです。福島で40年間、原発と共生してきた。だが絶対に守らねばならない安全を守りきれず、大切なふるさとを壊し、国民に迷惑をかけた。その責任は強く感じている。

Q:なぜ、原発の技術者に。
A:俺は小さな島の漁師の子。高校まで沖縄にいたが、米国の統治に反発して学生運動をしたせいで東京に行かざるを得なくなった。その後、船の機関士の免許を取り、貨物船で世界を回った。そこで同僚だった原子力潜水艦の経験がある米国人に米ゼネラル・エレクトリック(GE)に誘われた。原子力は入社してから猛勉強したよ。福島で採用されたBWR(沸騰水型炉)のオペレーターの免許もとった。GEの教科書を日本語に訳し、東電のBWR訓練センターの最初の教科書になったんだ。

 福島第一の2号機が試運転、6号機が建設準備中だった1973年に福島県に来た。以来、原発建設のアドバイス、システムの保守・管理など、原発技術者として働いた。世界を見て回り、資源が乏しい日本には原子力しかないと信じていた。仕事には誇りを持っていたよ。

Q:原発を危険な存在だとは思わなかったのですか。
A:リスクは常に感じていた。GEの設計ミスも含め、幾つかの異常な事態も経験した。なかでも、88年の暮れに第二原発3号機の再循環ポンプのインペラー(回転翼)が壊れ、炉心に金属片が入った事故は忘れられない。ポンプやモーターの異常な震動を感知し、出力を下げるよう東電に進言したが、『年末で無理』と言われ、夜も寝られなかったよ。1カ月、しつこく言い続け、発電を止めた時はホッとした。高速の破片が、炉心に直結する配管を破断するのを恐れたんだ。格納容器の破壊につながるからだ。

 BWRは、事故があると相当熟練していないと対応できない設計だ。五感を研ぎ澄ませ、現場をパトロールする必要がある。配管に触れ、震動や温度に異常がないか、確かめることもあった。

Q:3・11の事故では、現場の熟練度が足りなかった印象です。
A:第一原発の吉田昌郎所長ら東電社員は事故直後、一生懸命やったと思うし、現在も頑張っている。ただ現場に精通した社員が少なくなっていたのは確かだ。70年代は現場で仕事をした東電の技術スタッフが多くいた。後に副社長になり、プラントを愛した最後のドンといわれた池亀亮さんは、よく現場にいた。いいけんか相手だったよ。でも80年代以降、経営効率ばかりに目がいくようになったのか、現場は業者やメーカーに任せきり。大事故が起きると警告し続けたが、力足らずで……。

Q:大震災のときは、どこに?
A:富岡町の会社にいた。第二原発にいた社員に電話をしたら、なんとか電源は確保できると。だが第一原発は海水ポンプが『5円玉(標高5メートル)』にあり、津波でアウトだと思った。重要免震棟にいた社員からの電話で『冷却設備、全滅!』と聞いたときは、絶望的な心境だった。

Q:第一原発はしばらく危機的状況が続きました。
A:格納容器が破壊されなかったのは幸運以外ない。原発は安全という自信過剰。事故を隠し、国民からのプレッシャーを受けずにすんだことによる甘え。我々はそのつけを一気に払わされたんだ。東電や政府の事故後の危機管理には失望している。

 事故後すぐ、GEの原子力本部にメールを送った。日本は一度に浴びる放射線量が管理されているが、米国は個人が了解すれば高線量の放射線を浴びても構わない。だから高線量下で作業をするプロが多い。放射線への対応が日本よりシビアなんだ。そんなプロを送ってくれと頼み、GEも対応してくれたが、東電や政府とうまくつながらなかった。

Q:事故直後は政府も東電も混乱していましたからね。
A:うちの社員も東電社員と一緒に事故に対応した。危険で過酷な作業に送るのはつらかったが、社員たちが『行かせて』と言うんだ。みんな地元の子で、『ふるさとを見捨てられない』と。涙が出たよ。

Q:第一原発の現状は。
A:原子炉は仮設システムで冷温の状態を維持している。仮設配管の少々の水漏れは織り込み済みだと思うが、建屋内への地下水流入と汚染水処理にはてこずり、廃炉作業に入れないでいる。うちの会社も廃炉を助ける技術の提供はしているが、先行きの見通しは立たない。

     ■     ■
Q:政府は経済成長のため原発を輸出するといいます。
A:原因究明も含め、事故の後始末はまだ途中。なのに原発を再稼働、あるいは輸出するなんて、あり得ない。原発は、放射性廃棄物や使用済み燃料をどう処理するかが大切だ。国によってはテロ対策も重要になる。国内でもそれが満足にできないのに、輸出するのは理解できない。

 それより廃炉だ。世界中の原発はいずれ廃炉に向かう。そのための技術を確立すれば、商機は十分にある。福島原発は廃炉技術を磨く場。優秀な技術者を集め、過酷な状況にある原子炉で世界一の廃炉技術を身につけるべきだ。日本では原子力を学ぶ学生が減っていると聞くが、今後、原発技術で日本を救おうという若者にぜひ、出てきて欲しい。

Q:福島以外では、原発事故への関心が薄れている気がします。
A:一地方に過ぎない福島県に力を注いでも、政治家や行政にとって大した得点にならないのは分かる。国民から同情の気持ちが薄まるのも仕方ない。でも同じ日本人として、関心は持ち続けてほしいと思う。

 この5月、双葉郡の首長に双葉郡アイランド構築計画という構想を示した。第一原発沖に汚染土壌やがれきで巨大な人工島を造り、廃炉のための施設、がれき処理・研究の施設を設ける。大量の土をかぶせるので島の上で線量はない。海に影響が出ないよう万全も期す。除染は最小限にとどめ、国家予算を復興策に使う。また県内の汚染土壌やがれきは、すべて双葉地方に仮置きする。

Q:除染は最小限、汚染土壌は受け入れ。反発が出ませんか。
A:汚染土壌やがれきが分散して置かれていることが問題だ。国が計画する中間貯蔵施設を人工島を造るまでの仮保管場所にして、そこに集めればいい。福島全体の復興のために、あえてそうする。代わりに人工島などで国に助けてもらう。

Q:人工島は荒唐無稽では。
A:地元から議論を起こさないと、関心を持ってもらえない。廃屋だらけの場所に企業が来る? 後継者もなくて農業は再生できる? 国のやり方は現実的でない。地元が声を上げ、双葉郡のイメージを大胆に変え、若い人が来たくなる地域づくりが必要だ。アイランド構想は廃炉や地元の復興に寄与するはず。専門家に実現可能性を検討してほしい。

     ■     ■
Q:そもそも日本は原発を持ってよかったのでしょうか。
A:原爆を体験した日本人ほど核物質に敏感な国民はいない。だが原発については、核物質を生み、負の遺産になることを考えずにきた。原発は経済成長を支えたが、経済を優先するあまり、負の側面に鈍感過ぎたと思う。原発を自由に討議できない雰囲気をつくったのも問題だ。

 原発と共生してきた私に原発の是非を語る資格はない。ただ言いたいのは、命にかかわる原子力について、国民は正しい情報を知る権利があるということだ。再稼働するにしても、それが大前提だよ。

Q:福島にはこれからもずっと?
A:ここで結婚し、家を建て、墓もつくった。第二のふるさと、永住の地だ。いまは住めない富岡町の自宅から、第二原発がはっきり見えた。『監視小屋だよ』と言ったら、近所の人が『名嘉さんがいてくれるなら安心だ』って。地震後、避難所で再会したとき、『監視小屋、役に立たなかったね』と。切なくてね。

 かつて沖縄で、『俺たちは日本人ですか』と本土の人によく言った。同じ言葉を福島の人に言わせたくない。福島を見捨てられた地にしたくない。この地で原発と共に生きた技術者の、それが最後の願いなんだ。

 (聞き手・吉田貴文)
なかゆきてる:41年生まれ。GE技術者として福島に。プラントの設計・保守・点検に携わる。80年、東電の協力会社、東北エンタープライズ設立。現会長。

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